PLAYERSU

□Happy Halloween
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「お菓子くれないと、イタズラしちゃうよ?」


寝ぼけ眼であたしのことを見てくる。そんな彼を意識しないはずがなく、反射的に顔を赤くしてしまう。

「あれー急に顔赤くなったけど、どうしたの?」
「どっ…どうしたのって」
「んー?」
「むっくん…近い…」
「そっかそっか。みくちんは照れ屋だもんね」


とかなんとか言っているわりに相変わらずその体勢は変わらないし、依然としてお菓子を要求する姿勢もそのままで。


「けどまーお菓子くれないんだったら、ほんとにするから、いいし」
「へっ?」

"する"というのが何のことかわからずに聞き返したら、そのわずかに保たれていた距離をグッと縮めて本日1回目のキスが浴びせられた。

いきなりでびっくりしたが、すぐ離してくれると思い油断していた。

なかなか離してくれないどころか舌先を絡めてきたりしてどんどんエスカレート。

しばらく繰り返したのちやっと唇を離してくれた。

お互いの口元から唾液が伝っていたけど、むっくんはそれを粗野な仕草で拭いてあたしに何かを企むような目を向けた。

「ちょ…いきなり何…」
「言ったじゃん、ね?」
「ね?じゃないよもうイタズラってそういう事?」
「うん。それよりさー」

落ちそうになった帽子を片手で直しながら、むうっと頬を膨らませた。

「俺に内緒で、お菓子食べたでしょ?」
「………う」


まさか、バレないと思っていた。

実をいうと今日むっくんがここに来てお菓子を要求することなんて目に見えていたから、ちゃんと渡せるように用意はしていた。

だが、ちょっとした出来心でむっくんが来る前にそれを全部ではないが食べてしまい、しかも少し焦らしたいなんて気持ちもあって、出し渋っていた。無論、最終的にはちゃんとあげる予定だった。

でも、さっきの深いキスが仇となった。


「……食べた、よね?」
「………はい」


小さくつぶやき、それを確認すると案の定この言葉。

「俺にもちょーだい。みくちん」
「嫌って言ったらどうしよ?」
「またイタズラするから、いい」

なかなか出さないでいると、ムキになってタダをこねられる。しかもまた本当に彼の言うところの"イタズラ"をされてしまうのは明白だった。


ただ、あたしにも思うことがあった。


「あのね、むっくん」
「どしたの?お菓子くれる気になった?」
「違くて、何か勘違いしてるみたいだから」
「俺が勘違いしてる?意味わかんない」

またムキになった顔をしながら少し前屈みになってあたしの目を捉える。それを見返すように笑って告げた。照れを隠すつもりもなかった。


「それね、イタズラになってないよ」


"えっ"と一瞬驚いた表情を見せたむっくん。そんな表情を無視して今度はあたしの方から唇を重ねてみた。



むしろあたしにとってはお菓子なんかよりこっちの方がよっぽど好きなんだから。











end.
12/10/31 Halloween
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