PLAYERSU

□意地悪しないで
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ガチャン


ちょっと経ってからまた扉を開け閉めする音が聞こえて、わたしたち以外の人の気配が消えた。先生は立ち去ったみたいだった。

高尾くんはそれを横目で確認すると、唇を離した。


「危なかったなー」
「もう…すごく焦った…」
「俺は別に見せ付けてやっても良かったけどな」
「またそんなこと言って」


身体を起こそうと腕に力を入れると、そうはさせまいと覆い被さるようにしてまた唇を塞いできた。

唐突すぎたので咄嗟に拒絶の声を出そうとしたが、そのせいでいきなり舌先の侵入を許してしまった。

ちゅっとわざと音をたててそれを繰り返す。



唇を離したあともキスが激しかったからか、銀色の糸を引いて、ぷつんと切れる。


そのあとも、わたしの手首を押さえて怪しい笑みを浮かべてわたしを見下す。


「まだしたい?それとも帰りたい?」

そんな質問をしてくるくせに押さえつける手の力が少し強まるのがわかった。帰す気なんてさらさらないのだろう。

でも、とりあえずはわたしもそれに抵抗するように答えてみる。


「か…帰りたいって言ったらどうするの?」
「もちろん帰さねーけど」
「それ、聞く意味ないじゃない」
「ん?ああ、そうだな」


軽い感じでわたしにそう告げる高尾くん。そんな彼から目をふいっとそらしてつぶやくように問いかけた。

「……たい…って言ったら、どうする」
「え、何?聞こえるように言ってよ」
「まだ、したいって言ったら…どうするの?して、くれるの…?」


そう問いかけると、高尾くんは"んー"とほんの少しだけ考えたあとにニヤリと笑って一言。



「しない」


これにはさすがに驚いた。じゃあその問いかけにはどう答えたらいい。わけがわからなかった。

「じゃあ何でそんなこと聞くの」
「したい?って聞いてしたいって言われたらはいしますよなんてそれこそ聞く意味なくね?」
「つまり、最初からする気ないんだね」


その言葉には返答しないでわたしの目を一心に見つめてきた。
わたしは、目を見つめられるのが苦手だ。人の目を見て話すのも得意じゃない。だから、こんなふうに、ましてや好きな人に見つめられればもう耐えるなんて出来ない。

帰りたい気持ちも少しはあった。でも、それよりやっぱりこんな状況下だ。さっきみたいなキスを求めるのも自然ではないかとわたしの頭は結論済みである。



「ねぇ、高尾くん」
「?」
「…どういうふうに言えば…くれるの?」
「そうだなあ…とりあえず名前で呼ばなきゃしてやんない」
「………かず…なり」
「だから、聞こえるように」
「…和成…っ……」


恥ずかしくてまたふいっと目をそらしたら、寸止めの位置まで顔を寄せて低くつぶやいた。

「目ぇ見て言わなきゃしてやんねーかんな」
「もっ…意地悪しないでよぉ…」

ちょっと涙目になりながらも必死に訴えかけた。が、高尾くんはそれでもそんなわたしを怪しげな笑みで見下すだけだった。


「きちんとお願い出来たらしてやんねーこともねーわ」
「………………」


恥ずかしさで涙が出そうになった。でも、高尾くんに向かって告げた。

「……和成…き、キスして欲しい…おねっ…お願いだから」

苦手だけど、目をそらさずにちゃんと言った。こんなに恥ずかしい台詞を結局言わされる羽目になるなんて思っていなかった。



高尾くんは一瞬だけ照れたような顔を見せたけど、次の瞬間にはわたしのお願い通りにまた深い口づけをくれた。








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