PLAYERSU

□繋いだ体温
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しばらく歩くと、綺麗なイルミネーションが見えてきた。

定番といえば定番なのだが、彼氏と一緒に見に来るなんて初めてだったので、感極まっていた。

「うわあ…すごく綺麗」
「そうだね」

そこはこぢんまりとした広場だったのだが、あちらこちらにある木がライトアップされていて、とても幻想的だった。

そのとき、止んでいた雪が再び降り始めて、さらに冷え込みを増した。


「雪、降ってきたね」
「ここの冬は本当によく降るんだね」
「うん、毎年毎年だから、あたしはもう慣れっこだよ」
「はは、俺にはまだまだ新鮮さ」
「でも、あたしも新鮮かなー」

そうあたしが呟くと、不思議そうな目をしてあたしのことを見た。

「どうして?」
「あたしね、クリスマスに好きな人と一緒に過ごすの、ずっと夢だったんだ」
「本当に?じゃあ俺が初めてなんだ」
「う…うん…」


急に恥ずかしくなって氷室くんの顔を直視できなくなった。

こっちから恥ずかしいことを言っておきながら逆に赤面してしまうなんて。余計になんだか格好悪い気がしてしまったが、そんなあたしを見ても氷室くんはからかったりせずにただ、告げた。


「嬉しい。こんな気持ちになったのは初めてだよ」

そのストレートな言葉に不覚にもドキッとする。

氷室くんは、あたしをこういう気持ちにさせるのが得意だ。
別にそれを意図しているわけではないのはわかるのだけれど、どうしたってあたしは彼の言葉にドギマギしてしまうのだ。

「あ、あたしもね、こんな気持ちになったの初めてだから…」

赤面しながらもそう伝えると、氷室くんはいつもみたいな優しい微笑みを見せた。

いつもいつも冷静で穏やかな彼だったけど、あたしのその言葉に、繋いだ手から伝わってくる体温がほんの少しだけ上がったのがわかった。





end.
12/12/02
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