PLAYERSU
□キスで鎮めてあげる
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こうなってしまった征ちゃんを落ち着かせるのは難しい。
中学のときからそうだった。
ただでさえ久々に会うのに、いきなり怒らせてしまうなんて、あたしにとっては最大の罪のような気がした。
でも、こんな状況でも悪くないって、思ってしまった。
それはたぶん、征ちゃんのそういうところも認めているからで、こういった彼の好きそうな絶対的な服従とも言うべき扱いも、これがあたしの好きな征ちゃんななんだって頭ではなんとなく理解しているからである。
極端な話、あたしは彼に命令、あるいは従えてほしいのだということになる。本当に極端な話だが。
久々に会ったからなおさら、そう感じてしまう。
あたしって、変態なのかも。なんてことを思うのはもう日常茶飯事になっていた。
でも、征ちゃんに完全に服従するようなあたしの姿勢を見て楽しんでいる彼も十分に変態チックだと思うが、それだけは言わないでおく。
でもとりあえず、征ちゃんが怒っているのだけはなんとかしないといけないと思った。
「ほんと…ごめんね、征ちゃん」
「表情から反省の色が見えないんだけど?」
征ちゃん、誕生日を忘れられて悲しかったんだよね?祝ってほしかったんだよね?ほら、謝るからそんな怖い目付きしていじけないでよ。
征ちゃんの考えを裏から読んでみたりして、ただ祝ってほしかっただけなのだとわかるけれど、このあとにどうすればいいかわからない。
ちなみに、ただ祝ってほしかっただけ、といえるのには自信があった。やはりこういうところだけは、お互いに理解できてしまうものだから。
っと、それより。
「ほんっっと、ごめん!!」
「だから、それで反省しているの?」
してるってば征ちゃん!
あたしのこの誠意というものは確実に彼に伝わっているはずである。
なのに、こんなふうに言うなんて征ちゃんったら、完全にあたしに対して意地悪をしている。
「じゃあさ、どうしたら許してくれるの?」
少し強気で上目遣いで征ちゃんに問いかけると、その瞬間にパッと目をそらされた。
あ…なんか今動揺した。
なんとなくわかる。征ちゃんだって全てにおいて完璧であるはずがない。あたしの言動や行動の1つで焦ったり、余裕をなくしたりするときだってあるのだ。
これは、たぶん…付き合っているからわかること。
そう考えていたら返答がきた。
「とりあえず、今日1日と明日は僕のそばから離れないこと。あと、その日は他の男と喋るのも禁止で。プレゼントはそうだな、とりあえずまずはみくから久々のキスでもしてもらえればいいかな」
と、立て続けに要求が飛んできた。
こんな感じも久々だ。中学のときは結構しょっちゅうこういった意地の悪い要求をされていたような気がする。
でも、今回のは正直あたしもお安いご用といった感じ。
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