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□君にラッキーアイテムを
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緑間くんのこだわりというやつは、時に厄介で、正直面倒臭いと思うこともある。


特におは朝に関して言えば相当だ。

今日お前はかに座の俺とは相性が最悪だから一緒には居られないのだよ、と言われたり、ラッキーアイテム収集に付き合わされたりする。


たまに気分が良い時だけ、あたしの分のラッキーアイテムを持ってきたりしてくれる時もある。


それがいつも謎なものが多いから正直びっくりすることも多い。


ちなみに言うと、わたしはおは朝占いはこれっぽっちも信じていない。





ガラッ



いつもみたいに登校。

教室に入るときに高尾くんと入れ違いになって、簡単に挨拶を交わす。


「おはよ、高尾くん」


「おーっす神崎。真ちゃんもう来てるぜー」


「もう高尾くんてば、その情報いらないよ?」


「とか言っていつも真っ先に来てるか来てないか確認してんだろ」


「う、うるさい!」



高尾くんはいつもわたしのことを茶化す。最近になってこのからかいにも慣れてきたところ。


自分の席に鞄を置いて、緑間くんのところへ向かった。



「おはよう、緑間くん!」


「ああ、おはよう。みく」


緑間くんは珍しく教室で左手の指にテーピングを巻いている最中だった。

いつもならこういうのは家でやってくるはずだから、ちょっと変だな、と思った。


付き合い始めてしばらく経つけど、こういう些細なことには最近になってやっと気がつくようになった。



「今日は朝からテーピング巻いて来なかったんだ?」


「寝坊してしまったのだよ、俺としたことが。そのせいで時間がなくてな」


「さては今日の運勢最悪とか?」


「その通りなのだよ」


無表情のまま淡々と話す。

滅多に笑顔なんて見せないけれど、わたしといるときはなんとなく饒舌だし、楽しそうに見える。


だからそれも純粋に嬉しかった。


「って、寝坊したくせにおは朝はしっかり見てるのね…」


「高尾にも同じことを言われたのだよ。これを見逃すわけにはいかないのだからな」


あらら…やっぱり皆思うことは一緒なのね。


そして突っ込みたい点がもう一つ。


「で、これは一体なんなの?」


わたしが指さしたのは緑間くんの机の上。

なぜだかそこにはテーブルクロスが敷かれ、地味な机がガラリと変わって華やかになっていた。


「今日のラッキーアイテムだが」


ですよね。

大体察しはついていた。

にしてもまわりの机と比べたら緑間くんの机だけ異色を放っていた。

クロスの柄も柄で、もう少し無地に近いものならよいのだが、それとは違い、華やかさを八割増くらいにさせるような花柄だった。


緑間くんには悪いけれど、笑いを堪えるのに必死だった。恐らく高尾くんはこれを見て真っ先に吹き出したに違いない。


きっと家にこれしかなかったのだろう。それかただのテーブルクロスじゃなくておは朝が"花柄のテーブルクロス"と指定してきたが為にこうなったのだろうと推測できる。





緑間くんを知らない人が見れば"あいつ頭おかしいんじゃねーの"となることは必至である。

昔のわたし、出会った頃のわたしもそう思っていたから。


でも、今はこれが緑間くんなのであってこれこそが彼なのだと思うから、そういうところも認めて一緒にいられる。


今日は相性が悪いから近寄るなと言われるのは少々カンに障るが。





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