PLAYERSU
□初めてを君に
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「急に呼び出して、どうしたの?みくちゃん」
「えっと………ね」
あたしは今から、人生初の告白をしようとしている。
相手は、隣のクラスの高尾くん。去年同じクラスで、あたしはそのときからずっと好きだった。
いつも気さくで、よく話しかけてくれるし、チャラチャラしてるのかと思いきやちゃんと周りも見えてるし、明るくて優しい。
そういうところに惹かれた。
だけど、クラスが変わって距離ができてしまうのが嫌だったから、クラスが変わってすぐにこうして告白しようというわけだった。
「どーしたの?顔、赤いけど?」
不敵な笑みであたしのことを見る。まるで、これからあたしが何を言おうとしているのか全て悟ったかのような目をしていた。
まぁ、この状況になって薄々でも気付かないほうがおかしいけど。
にしたって高尾くんの表情はあまりにも余裕がありすぎて、逆に怖かった。
でも、あたしの決意が揺らぐことはない。
「あ…あたしね、去年からずっと高尾くんのこと、気になってて……高尾くんさえよかったら、その……つ…付き合ってほしいんだけど……駄目、かな」
そう言っても、高尾くんは表情を崩さずに"ふ〜ん…"と言っている。
あたしとしては、その返答がどうしても気になってしまうというのに。
不敵な笑みのまま、あたしに一歩ずつ近づいてくる。
なにか、いつもと違う気がして、本能からかあたしも後ずさりをしてしまっていた。
「俺と付き合いたいんでしょ?だったら逃げんなよ」
「……っ」
教室の扉あたりまで後ずさったところでそう言われ、あたしは足を止めた。
あたしの正面まで高尾くんが迫ってきて、不意に彼の手が伸びてきてあたしの顎を掴んで上向きにさせた。
「……な…」
「俺のこと、好きなの?」
唐突に聞かれ、鼓動が一層速くなる。
その問に、あたしは力なく答えた。
「ん…好き…」
好き?なんて聞いてくるけれど、本当は高尾くんは全部わかっているような気がする。
だから、そんな余裕な表情なんだ。
すると、高尾くんは思わぬことを言った。
「…そんなに好きなら、キスの1つでもしてみろよ、俺に」
「え?なに…言ってるの」
「俺のことが好きなら出来るっしょ?みくちゃん」
「それとこれとは違…っ」
「違わねーさ、どこも」
そう言ったときの高尾くんの目が真剣すぎて、あたしは何も言えなくなる。
強引に顎を掴んでいるようにも見えるけど、その割に触れ方が優しくて、怖さ半分優しさも半分感じた。
高尾くんの、考えていることがわからない。
でも、いきなりキスだなんて、できるわけがない。
まだ、高尾くんが、あたしのことどう思っているかも聞いていないのに。
「本当は、俺のこと欲しくて欲しくてたまんないんじゃないの?だから俺に迫られてこんな顔真っ赤にしてんでしょ。あれ、もしかしてこんな風に男に迫られたこと、ないとか?」
「あっ、あるわけないでしょ…!」
「だよな、みくちゃんそんな感じするし」
するとパッと手を離した高尾くん。
顎の解放感がに浸る間もなく、あたしは高尾くんを見つめた。
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