PLAYERSU
□主役は彼だから
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「すみません、ちょっとここ寄っていいですか?」
デートの途中。マジバの前を通りかかった瞬間にいきなりここに寄りたいと言い出した黒子くん。
まぁ、今日は彼の誕生日でもあるから、わたしはわがまま一つ言わずに黒子くんの行きたいところに行く。念を押すけど、今日だけである。
いつもはわたしがああしたいだのこうしたいだの言って黒子くんはやれやれといった様子。
だけど、今日はそれは無しでわたしが黒子くんのわがままに付き合う番だ。
とはいっても、元々彼はあまり感情を表に出したりはしないから、わがままといってもそのマジバに寄りたいとかその程度だけれど。
それでも、黒子くんからああしたいこうしたいと言ってくれるのは素直に嬉しかった。
「バニラシェイク、でしょ?」
「あ、はい」
黒子くんの好みはだいたい知っている。けれど注文を一応確認した。
「わかった、今日はわたしの奢り!」
「いいんですか?ありがとうございます」
そういう笑顔を見せられたりすると、たまらなく嬉しい。
もうこの笑顔を見るためだけに誕生日を祝っている気がしてならない。
実際、そんなものだ。
好きな人、大切な人の喜ぶ顔が見たいから、サプライズをしたり、プレゼントを用意したりして、その人のために何かをしようと思うのだ。
だから、こんな形でもわたしは黒子くんの喜ぶ顔が見られればそれでよかった。
その日は休日で、マジバもやたらと混んでいて、空いている席は隅っこの席しかなくて、そこに向かい合って座った。
さすがにシェイクだけでは申し訳ないので、ハンバーガーとかポテトも一緒に買った。
黒子くんの方が申し訳なさそうな顔つきをしていたけど、わたしが"これくらい、出させて?"と言うと少しだけ遠慮する素振りを見せたけど、お礼を言ってわたしの言葉に甘えた。
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