PLAYERSU
□想い伝え合うこの夜
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修学旅行。ちょうど折り返しの日の夜のこと。
普通、男子と女子の部屋の移動は認められていない。
なのに、ノックされたので扉を開けたらそこには緑間くんが立っていた。
時刻は消灯時間になりかけ。彼はそういった規則を意地でも守るタイプだと思っていたから、少しびっくりした。
「どうしたの?」
「いや、その……いいから来るのだよ!」
と、無理やりわたしの手を引くと、宿の外までわたしを連れ出して、向き合う。
なんとなくわかっていた、彼が言おうとしていることが。
「俺と付き合って欲しい」
案の定、というべきか。
でもまさか、あの緑間くんがそんなことを言うなんて意外すぎて、そこに驚く。
彼は悪い人ではない。でもわたしは、頷くことができなかった。
「………ごめん、緑間くん…わたし」
「謝るな……ダメ元だったのだからな。それに、知っていた」
「……?」
「お前が好きなのは、高尾だろう」
やっぱり、緑間くんは全部わかった上でわたしと付き合いたいと思ったみたいだ。
「うん…ごめんね。わたしやっぱり高尾くんのことが好きみたい……」
すると緑間くんは、はぁ、とため息をついて、
「面と向かって言われるのもなかなかきついものだな」
緑間くんがわたしに対して悲しそうな笑みを見せたときだった。
チャリーン
すぐ後ろのほうから小銭の落ちる音がして、わたしと緑間くんは無意識のうちにそっちを見た。
するとそこには
「…よっ…よぉ…」
見慣れた姿。聞き慣れた声。見間違うはずもない。
うそ……なんでここに、高尾くんがいるの?
まさか全部聞かれてた?
高尾くんのほうもしまった、というような焦った顔つきをしていた。
多分、聞かれていたことはほぼ間違いなかった。
わたしは思わずそこから逃げ出した。
「ちょっ、みくちゃん!?」
高尾くんがわたしの名前を呼んだけど無視して自分の部屋へと急ぐ。
「高尾…お前はとことん最低な奴なのだよ」
「ごめんって、真ちゃん」
「いつからいた」
「んー…最初から?」
「…………早く神崎のところへ行ってやれ」
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