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□想い伝え合うこの夜
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うそ…やだ、高尾くんに全部聞かれてた!


わたしが好きだってこともきっとわかっちゃったに違いない。


恥ずかしくて、逃げたわたしを高尾くんはどう思うのかな。


部屋に戻ってきて、いち早く鍵をかけた。


ちょうど消灯時間。けれど同じ部屋の子はまだ他の部屋にいるのか、ここにはおらずわたし一人だ。



するとすぐだった。



トントン

部屋をノックする音。はっとしてそっちを見る。



「俺だけど。高尾」


ドア越しにその声を聞いた途端一気に心臓がバクバクする。

出る勇気なんてなくて、だからその声を無視していないふりをした。


「いるんでしょ?頼むから、出てきて」



息を潜めてわたしはそれを無視する。

だって、高尾くんにどんな顔して会えばいいのかわかんないよ…。


すると高尾くんは、



「俺みくちゃんの部屋の子にここの部屋の鍵借りてきたから。開けるよ?」



えっ、うそ?

わたしは扉に向かって言っていた。



「そ、それはダメ!」



すると扉越しにかすかに笑った声が聞こえた。


「ほーら、やっぱいんじゃん。出ておいでよ、みくちゃん。鍵なんて嘘だし、持ってねーから」



しまった、と思ったけどもう遅くて、わたしはドアのすぐ前で立ち往生した。



「高尾くんに…どんな顔して会えばいいのかわかんない」


「なんで?俺のことが好きだから?」


「!」


まさかそんな風に返答されるなんて考えてもいなくて、また何も言えなくなる。


だいたい、高尾くんは何で自信満々にそんなことが言えるのだろう。


わたしのことをからかっているのだろうか。



「俺もさ、みくちゃんに言おうとしてたことあったんだけど、ここ開けてくれなきゃ、言わない」



わたしに言おうとしてたこと?気になる。


さすがにこればかりは無視するなんてことできなかった。

けど、顔を見るのも怖い。だけど高尾くんはわたしがここを開けてくれるのを待ってる。


グッと握り拳をつくってドアの鍵を、開けた。



ガチャ



「開けてくれてサンキュー」


高尾くん姿を見た瞬間に一気に恥ずかしくなって咄嗟にまた扉を閉めようとして高尾くんにそれを止められた。



わたしとの距離が一気に縮まって心臓が破裂しそうになる。


「せっかく開けてくれたんだから、閉めんなよ」



「だって………!」


と、そこで一瞬高尾くんがチラッとだけど扉の外、廊下に目配せをしてから"シーッ"と言って唇に人差し指を当てた。





「……?」


「先生がすぐそこまで来てる」



小声でわたしに囁きかける。



「男子がこっちにいるのなんてバレたらどうなることやら…」


するといきなり扉をガッと掴んで開けて有無を言わさずに部屋に侵入した高尾くん。



「ちょ……!?」


「ごめん、みくちゃん。すぐ出てくから、マジ勘弁して?」



とはいえ、好きな人と部屋に2人きり。こんな状況下でテンパらない人がどこにいる。




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