PLAYERSU

□過去のトラウマ
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「黄瀬くんてさー、彼女とか作んないのかな?」


「さぁ、でもいるかもって噂もあるよね」



「ねー!いてもおかしくないってのはわかるけど、一緒にいるとこ全然見ないし、やっぱフリーなんじゃない?あたし、狙っちゃおっかなー!」



なんて、友達と集団で帰りながら話している。


わたしはその会話には一切入らない。なにか言えば、あとあと面倒なことになりかねないからである。




というのも、彼女たち、というより他の人には絶対の秘密にしていることがわたしにはあったから。





「あ、わたしこっちだから、みんなまたね!」


「うん!じゃーねーみくー!」

「気をつけてねー!」



わたしに偽りのない笑顔で別れを言う彼女たちに多少の罪悪感を覚える。


わたしはまっすぐ家には帰らない。これもいつも決まってある人との待ち合わせがあるからだ。


家に帰るのなら本当は曲がるはずの道を通り過ぎて、一本先の小さな道に入る。




しばらくそこを歩くと、待ち合わせしていたその人はもういてわたしに気付いて視線を向けた。



「みく、遅い」


「ごめん、涼太」



わたしが"涼太"と呼ぶその人は、先程友達との会話に出てきた黄瀬涼太のことである。


どうして待ち合わせしてるかなんて、理由は1つしかない。


単純に、わたしと涼太は付き合っているからだった。


自然な流れでわたしの手をとって歩き出す。歩くスピードも、彼はわたしに合わせてくれる。


ただ、この光景を同じ学校の人とかに見られたらと思うと、少しだけ怖い。



さっき友達の会話からも言えるとおり、周りの人たちはわたしと涼太が付き合っていることなんて知らない。


というより、隠れて付き合っているから、無理もない。


かれこれこんな生活も3ヶ月を突破していた。


まわりに気付かれたらどうしよう、とも思うけれど今更公表なんて出来なくて、ましてや涼太は学校内の超有名人だから、尚更言えなかった。



だったら最初からまわりに言えばよかったんだと少し後悔もしているけれど、


"俺と付き合ってることは、秘密にして?"なんて言われたら頷くしかなかった。



遊ばれてるんじゃないかと思ってもわたしは涼太のこと信用したいから、そんなふうに感じてるなんてこと、言わない。


実際、それ以外で遊ばれてるんじゃないかなんてこと考えたこともない。



けど、このまま隠し通すのには無理があると思った。




ふと、隣を歩く涼太がわたしに問いかけた。



「いつもより元気ないけど、なんかあったんスか?」


「…別に、何もないけど」



「その顔は嘘っぽいけど、みくが言うならそういうことにしておいてやるっス」



意地悪く笑うけど、些細な変化に気付くあたり、わたしのことをよく見てるし、心配してくれているみたい。



そういうところは素直に嬉しくて、彼の優しさに触れるたびに好きを再認識する。



そう、遊びかもしれなくたってわたしは涼太のことが好きなんだ。


それだけは変わらない。だから、こんなふうに隠れて付き合うなんてやめたいっていうのは単にわたしのわがままなのかな。




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