PLAYERSU

□なんて不釣り合いな
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「黄瀬くんって、今まで何人の人と付き合った?」



「んー…覚えてないっス。結構軽い気持ちで付き合ってた時期とかあったし。中学のときとか」



教室の机の前後の席に座りながら、あたしは黄瀬くんに冷ややかな視線を浴びせた。



「へぇ…軽い気持ち…ねぇ…」



「いや、だからその、それは昔の話っスから!!だからその冷たい目で俺を見るのヤメテ!!!」



やれやれ、と思う。

別に彼の昔の話なんて実を言うとどうでもよかった。

そんな風に話していてもやはりそれは彼が強く言うとおり"昔の話"であって、今の彼はそんな軽くてチャラチャラしたやつではない。



なんせ高校に入ってからは、一度も彼女を作っていないと聞く。


なぜなのか。そんなのはわからないけど、告白してきた女の子は片っ端から振ったも聞いた。


一体彼の心境にどんな変化があったのかそんなことは全くもって想像できないのだけれど、なぜだか、女の子からのアプローチを真面目に受け入れようとはしない。


あたしはそれを、中学時代に遊んできた罪滅ぼしのつもりか、と蔑んだ目で見ていた。


でも、あたしは、黄瀬くんに彼女ができるのがなんとなく嫌だった。

なんとなく、嫌だった。






「俺に彼女できたら喜んでくれる?」


「……え?まさか。なんであたしが喜んであげなきゃいけないのよ」


「そっスよね!みくならそういうと思った!」



と、嬉しそうにする黄瀬くん。正直、理解に苦しんだ。


「彼女欲しくないの?」


「んー?欲しいっスよ?でも、俺だって相手くらい選びたいっス!っあ、でもそれじゃちょっと違うかなー…」


何やらブツブツ言ったあとに、パッと顔を上げてまぶしいくらいの笑顔で言った。



「俺は、好きな子に選ばれたいっス!!」


それに付け加えて、



「でも、いつまでたってもその子は俺の気持ちに気付きもしないんス。俺はずっとこーやって待ってるのに。ね、みく?」



「は?」



意味がよくわからずに聞き返すと、何だか適当に笑って誤魔化された。


ほんと、何考えてるのかわからない。不思議な人。




結局は、黄瀬くんが言葉にしないと何も気が付かないんだ。



あたしはきっと、彼がその言葉をはっきり言うまで何もわからないんだろう。

彼の本当の気持ちに。
そして自分の気持ちにすら。




気付かないあたしも馬鹿で、言葉にできない彼も馬鹿で。

なんて不釣り合い。でも、それがいい。








end.
13/06/07

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