PLAYERSU
□I’d like to meet
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「黄瀬、今日オフだろ?カラオケでもいこーぜ」
「ごめん、今日は俺、約束があるんっスわ!じゃ!」
「まじかー!またな」
そう友達に告げて足早に学校を出た。
“約束“
だいたいみんな、彼女との約束だと大方思っているのだろうが、実はそうではない。
寄り道もせずに家に帰ると、部屋の明かりがついていて、テレビもつけずに携帯を弄っている女の子がいた。
海常高校の制服ではない、着崩した他校の制服。
それに清楚で綺麗な黒髪に、端正な顔立ち。
でもその子は、彼女ではない。俺に彼女は他にいた。
「おかえり、涼太」
「ん、ただいま。早いじゃん、みく」
「早く涼太に会いたくて、とか言えばいいの?」
「冗談。別に無理しないでいいっスよ。今日だって、俺のオフに合わせてもらったわけだし」
「あーそ。じゃあ言うけど、そっちが無理に呼び出しておいて早く会いたいとか、ありえないよ?」
淡々と生意気そうに話すみくに思わずキスをした。
「んっ……どうしたの、もうしたくなったの?」
「んー、まぁ、そんなとこっス」
そう言うと、やれやれ、といった様子で今度はみくから俺にキスをした。
それからは、いつものようにそこでエッチして、みくはそのまま泊まっていく。
そう、ただそれだけの存在。俺たちの間に、恋愛感情は微塵もない。
朝になって、ごはんを一緒に食べて、それか俺が朝練で先に出て、別々に学校に行くのが週に1度か2度はあった。
彼女への罪悪感は、ないわけじゃなかったけど、彼女とよりみくとするほうが、身体の相性も良くて気持ちよかった。ただそれだけ。
恋愛感情なんて、ない、はずだった。
久しぶりに家に彼女を呼んだとき、「タバコの臭いがする」と言われたが、これは完全にみくのせいだと思った。
みくはここでよく吸っている。やめて、と言ってもやめる気配すらないからこっちとしても諦めていた。
それで、彼女とそこで久しぶりにエッチしても、どこか物足りなさが残った。
可愛いし、満たされないわけじゃない。
でも、みくのほうがエッチするときにもっと色っぽい顔して誘ってくるし、感じてくれてるのも良く分かる。
彼女とするときだけは、みくのことをしばしば思い出すようになっていた。
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