PLAYERSU

□みんなの知らない顔
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結構前のことになるけど、うちのクラスに帰国子女が転校してきた。


氷室辰也くんっていう人。



帰国子女なだけあって英語はペラペラ、それだけじゃなくて勉強も運動も滅茶苦茶できる。


モテる要素しかない。実際女の子からはモテモテだった。


優しいし、すごくかっこいいから、無理もない。


わたしなんか、遠く手の届かない存在のようなきがしていた………





はず、だった。




なのに。






その時はたまたま教室にわたしと氷室くんしかいなくて。でも、わたしももう用事を済ませたので帰ろうとしていたときだった。



「あのさ、神崎さん?」


「ん、なに」


氷室くんの方から、話を振ってくるなんて、珍しいなと思いながらも、適当に返事をした。

すると、思いがけない一言。



「俺と付き合ってみない」



………


…………!?!?



「…は、ええ!?」


いま、付き合うって言った!?え、何で!?何で!?怖い!


「急にこんな事言われたら驚くよね」


「驚くに、決まってるじゃん…!なに、ドッキリ?冗談?アメリカンジョーク?ハハ、笑えない」



あまりに動揺してしまっていたわたし。だって、いきなりつきあってなんて言われたら誰だってこんな反応するに決まっている。


だって、特に仲良しだったわけでもないのに、こんな、いきなり…。



「ジョークなんかじゃないんだけどな」


「うそ、だって氷室くん、そんな素振り見せなかったし。それに氷室くんすごくモテるのに、わたしなんかのこと、好きになるわけないもの」



そう言い返すと、氷室くんは席から立ち上がって、わたしの前に立つ。


「自分で自分の価値を下げるような言い方は、やめなよ」


まっすぐな、真剣な瞳。

本気なの…?この人は。


「本気、なの?」


「もちろん」



そうはいうけれど、あんまりにも突然過ぎて全然信用できない。

そんな素振りすらなかった。



「………」


「そんなに俺の言葉、信用できない?」


「だって、そんないきなり、別にこれといって仲良くない男の子に付き合ってって言われても、なんで?ってなるよ普通……」



「ふうん、神崎さんにはそういう風に見えてるんだ。まあたしかに仲良くはなかったけど、俺はずっと、君だけ見てたつもりだったんだけど」



ストレートに言われると照れる。こんなに言われたことなかったから。


キザな台詞も、氷室くんだったら様になってて思わずドキッとしてしまう。



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