PLAYERSU
□おしまい
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今日は、ウチの高校の文化祭。
高校に入学してから初めての文化祭。
あたしは、行事が昔から好きだった。体育祭とか、文化祭とか。
だから今回も、準備とかも積極的に参加する方だった。
中学のときも、こんな大層な文化祭ではなかったけれど、和成と2人でよく準備に参加してたなと、思い出していた。
遠い昔の、思い出。
和成と一緒にいた頃を思い出す度、ああいう別れ方しかできなかったことをしばしば悔やむこともあった。
まともに別れの会話なんてなくて、あたしが一方的にキレて、和成とはそのまま会わなくなった感じだった。
まあ、もう会うこともないし、他に好きな人もいるから、忘れようと思うに尽きる。
だけど、そうもいかなくて。
「あ、あの人ちょっとカッコイイ」
「んー…?どの人?」
「あそこにいる学ランの―――」
文化祭初日。人の多いこの校舎で友達が指さしたその人は、まさか会うことになるなんて思っても見なかった人だった。
和成。
なんで、ウチの高校の文化祭に来たんだろう。
「ねえねえ、ちょっと声かけてみようよ」
「いや、あたしは…その」
あまり乗り気じゃないあたしの返答なんて無視されるに決まっていた。
けど、友達が話しかけるより先に和成たちのほうがあたしたちに気付いたみたいだった。
和成と、遠目に目が合って、少しだけ動揺してしまう。
「あ、向こうも気付いてくれたみたいだよ!」
和成たちはこっちに来て、あたしたちの前で止まる。
「どこの高校なんですか〜?」
「俺らは、秀徳高校だよ」
「えーめっちゃ頭いいとこじゃん!すご〜」
「ハハッ、いやそうでもねーよ?」
なんて、急に親しげに話す友達と和成。
和成はいつもそう。初めて話したときもそうだった。
誰にでもすぐなかよくして、男女共に人気があって、女の子からは特にモテて、でもなかなか彼女をつくらない。
そう言われてたのに、あたしに急に告白してきたのはびっくりだったけど。
あたしもその時気になってたから、和成の彼女になれてうれしかった。あの時の感情は今でも忘れない。
すると不意に、和成があたしに視線を浴びせた。
そして、急に強い力で手をとった。
「!?」
「ゴメン、ちょっとだけこの子、借りるね」
「えっ、うそ!?」
そのまま手を引いてグイグイ前を歩く和成。
その場にいたあたし達以外の人がみんな驚くのがわかった。
でも、その手を振りほどけなくて、和成の後ろを黙って引っ張られながらついていくしかなかった。
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