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□他のコには秘密
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季節は秋。
暑さもすっかりおさまって、紅葉も進み、いよいよ本格的に秋らしくなってきたなぁと思い始める頃だった。
そのとき私は、恋をしていた。
席は隣。
バスケ部らしいけど1年生でもう既にエースって呼ばれてるみたい。
どんな人かと思ったら誰もが振り返るくらい長身でかっこいい人だった。
そのくせモデルもやってるらしく、とにかく女の子にモテる。
そんなすごい人が近くにいて、意識しない方がおかしかった。
気がついたら惹かれてた。
でも実際そいつは、私のことなんか眼中にないように思える。
今日だってほら、女の子に囲まれちゃってさ……
横目でちらっと見ると、楽しそうに笑う彼の姿が。
「黄瀬くんの好きなタイプってどんな女の子〜?」
「いや〜、えっと…なんていうんスかね…やっぱ好きになった人がタイプっスよ」
「ええーなんか答えになってなーい」
「じゃあもしかして好きなコとかいるの?」
「それは秘密」
そういった会話が日常茶飯事。
あの輪に入るのは無理だ。というより、入りたくない。
でも…黄瀬君と楽しそうに話す女の子たちを見てると、ちょっと羨ましい。
席は隣だけど、あんまり話したりすることないから。
たまに黄瀬君の方から話しかけてくるけど、素直になれないからぶっきらぼうになっちゃう。
なにやってんだかなぁ…私。
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