PLAYERS
□これで元気を出して
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外は土砂降り。
昼過ぎから一向に降りっぱなしである。
最悪だ、と思いながら鞄の中から携帯用の折りたたみ傘を取り出す。
「これだから梅雨は嫌いなのよね…。」
天気予報なんてまるで当てにならない。
今日は晴れるでしょうとか今朝だって言ってたくせにこれだ。
雨は嫌いだ。ジメジメするし…外に出れば傘を差してても多少なりとも濡れる。
そして梅雨が明ければ暑い暑い夏がやってくる。
そんな当たり前のことが毎年嫌で嫌で仕方なかった。
ちょっと止んでから帰ろっかなと思っていたら、もうだいぶ時間もすぎてしまっていた。
教室には人も全然いない。
一望して教室から出ようとし、扉を開けたところに紫原君が立っていた。
「あれ、紫原君」
「ん。えーっと…なんだっけ?」
「神崎だよ。まだわたしの名前覚えてないの?もう6月なのに」
「神崎さんだけじゃなくって他のみんなも全然覚えてないんだよね」
ちょっとムッとしたが、この人はそういう人であるし、今更とやかく言ったところでどうしようもないとわかっていた。
だから、もういいわよという顔をして別のことを訊いた。
「ていうか、何をしにわざわざ教室まで?」
紫原君は部活の格好をしていた。どう見ても部活を抜けてきた、といった風であった。
「ん〜…忘れ物」
「忘れ物?」
「お菓子の袋。机の横にかけっぱなしだったんだよねぇ」
おいおいコイツは正気か、なんてことを内心少しだけ思いながらふうんと頷いた。
紫原君はたくさんの机を避けて自分の机に向かい、「あったあった」とか言いながら満足そうな笑みを見せた。
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