PLAYERS

□ドキドキさせて
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閉園間近の遊園地。


人もまばらになってきたところで和成が観覧車にでも乗るかって言ってきたから、迷うことなく頷くあたしがいた。






日もとうに暮れ、観覧車は外から見るとライトアップされててすごく綺麗だった。




どうやら乗るお客さんはあたしたちで最後らしく、ラスト1周になりますと係員の人に言われた。








観覧車に乗り込み、和成の向かい側に座って、景色見たさに窓に一心に張りついた。


「わぁ、街の方すごく綺麗だよ!」



「だな。つか、みくはしゃぎすぎ。ガキみてー」


「へっ?わ、悪かったねガキみたいで」



ふてくされたように言うと和成は笑って「かわいー」って言ってくる。



「やめてよ、照れるし……」



窓から離れて座席にちょこんと座り直し、恥ずかしくて和成から目をそらす。




「みく、こっちおいで?」



普段はそんなこと言わないのに、そう言われたら逆らえない。

どうしたんだろうと思いながらも立ち上がって和成の前に立った瞬間に、グイッと思い切り腕を引かれ、和成に抱きとめられる形になってしまった。





「えっ//」



しかも体勢的にも和成の両足を跨いで膝の上に座るような感じになってしまって、余計に恥ずかしく思えた。




その勢いで頬に軽くキスされる。



小さくリップ音が響くとそれに呼応してあたしの心臓も高鳴る。


「な、なにするつもり」


「何って?キスに決まってんじゃん」


「こんな場所でやるの?恥ずかしい…」


「何で恥ずかしがるわけ?今お前のことを見てるのは俺だけなのに」



「そういう問題じゃなっ…」




言い切る前にその綺麗な指先で唇をなぞられて、言葉が詰まる。ドキドキする心が抑えられない。






「…どうして欲しい?」


そんな風に聞くくせにあたしの手を離してはくれないし、唇に触れたまま体勢も変えさせてくれない。目をそらさせる気さえも与えてくれはしない。




妖艶な笑みを浮かべてあたしを見てくる。下から見られてるのに見下されてる気分になる。



まるで"欲しいって言ってみろ"とでも言うような、そんな和成の態度に気持ちは更に高ぶる。





「……っ、そうやってまた意地悪する」



「ははは。早く言わないと下に着いちまうぜ?」


「……〜」



散々焦らされた挙げ句あたしは自分に正直になろうとした。本当はすごく悔しい。言わされてるみたいで。




「…しい」


「え?聞こえない」


「キスして……欲しい」




あたしは少し長いまばたきをして顔をちょっとだけしかめた。

その瞬間にいきなりキスされた。



いきなりすぎて体が強張る。和成の服をギュッと握りしめて目を閉じる。




今日はいつも以上にあたしの方が余裕がない。それを知ってか反対に和成の方は容赦がなかった。



後頭部をしっかりとおさえていきなり舌を強引にねじ込んできた。



なによこれ…手加減してよ…。



そう言いたくても言う口が塞がれているので言葉にできない。

角度を変える合間に言おうとしても漏れる声は言葉にならない。



完全に、されるがまま。



欲しいって言ったのはあたしなのに。あたしが欲しがったからしてくれてるはずなのに。


なんだろう、そんな感じがこれっぽっちもしなかった。



でも、いつもそう。

和成はあたしに「欲しい」って言わせるのが好きなだけで、そんなの言葉にしなくたってあたしが欲しがってるのなんて知ってる。

言わないとくれないなんていつもいつも意地悪。







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