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□君の優しさに触れた
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冬は嫌い。


理由は単純に、寒いから。





風邪も引くし朝は辛いしと挙げればキリがないのだが、やはりまとめると寒いの一言に尽きる。



キーンコーンカーンコーン


それでもいつもどおりに1日の授業が終わり、みんなそれぞれ帰り支度や、部活へ行く準備をしたりと個々の時間を過ごす。




わたしが所属しているのは陸上部。




今日は部活があって、寒いし億劫だと思いつつもサボれば先輩に何言われるかわかったものではないので、しっかり出る予定。




しかしふと、外を見るといつもと違う景色に思わず歓声を漏らした。



「わぁ…雪だ…」




外を見ると東京では珍しい白い雪が降り出していた。


霙みたいに降ることはたまにあったけれど、こんなふうにしっかりとした雪が降るのは久しぶりのような気がした。




「綺麗……」


「そうですね」


「うんうん。……って」



急に隣から聞こえた声に思わずガバッと振り返った。



「黒子君てば、いつからそこに!?」


「ずっといましたけど……」




こ、このやり取りも何度交わしたことか……。



急に横に現れたみたいな感じで出てくるから本当にびっくりする。





「……雪、久しぶりに見るかも」



「僕もですよ。東京はあまり降らないですからね」



「でも外凄く寒そう」



「まぁ、普段よりは寒いと思いますよ」





そこでハッとして思い出したことがある。



今日はそういえば、朝からマフラーといった類の防寒用のものを忘れてしまっていたのだった!


普通の人から見れば1日くらいは別にしょうがないで割り切れるが、極度の寒さ嫌いなわたしには致命傷だった。




朝も辛くて家に取りに帰りたいくらいだったが、遅刻ギリギリだった為どうにもやむを得なかった。





「あ〜…最悪」



「どうしてですか?」



「寒いの駄目なんだよね、わたし」



「そうなんですか」



"そうなんですか"ってあっさり言ってくれちゃってるけど…、まるで他人事みたいじゃない。


呆れた顔をして外にやっていた視線を教室内に戻す。





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