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□俺が守ってみせる
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「──だから、別れてほしい」
そう涼太に伝えたのは付き合って半年足らずだった。
「何言ってるかわかんないっスよ」
「別れてって、何で?」
「俺は絶対嫌だ」
涼太はそのとき色々わたしに言ってくれたけど、でも決心は揺らぐことはなかった。
別れようと思った理由は、1つ。
そう、涼太のファンの子による嫌がらせ。
察しはつくと思うが、涼太はモデルもやってるだけあり、かなりのイケメンだと言われている。
ましてやバスケ部のエース。こんなに魅力的な人などほかにいないだろう。
だから、その涼太と付き合ってるわたしが嫌がらせを受けるのが最近はごく自然な流れになっていた。
正直、それはわたしにとって甚大なダメージとなって蓄積していった。
涼太に言おうとも思った。
でも自分のファンの子のせいでわたしが嫌がらせを受けているなんて、とてもじゃないけどわたしの性格上言えるわけがなかった。
だから、一方的に別れを告げた。
わたしのほうから伝えたのに、すごく辛くて。
でも、別れなんて元々つらいものだと割り切って、涼太の前では涙を見せなかった。
涼太は納得しなかった。
でも、もう戻るつもりも毛頭なかった。
酷い仕打ちにはこれ以上耐えるのは不可能に近かったから。
─
わたしと涼太が別れたことは、すぐに学校中に知れ渡った。
何人かそれを聞きつけてやってくる人もいた。
「神崎さん、黄瀬くんと別れたって本当?」
「……うん、本当」
「そっか!」
その子の名前なんて知らない。ただわたしにしつこく嫌がらせしてきた人だってことしかわからなかった。
その子はぱぁっと笑顔になって早速席に座ってる涼太に絡みに行った。
わたしは涼太のほうを見ない。
見たくない、という気持ちがどこかにあったからだった。
瞬く間に知れ渡った情報により、「黄瀬くんは今フリー」ということを何人かの女の子が口走っているのが聞こえた。
だから、今日はいつもよりたくさん涼太のもとに女の子が来たみたい。
全部全部、見て見ぬフリをした。
涼太がその女の子たちとどう接していたかはわからないけど、態度の良し悪しに関して言えば、あまりちゃんとした対応をしていないらしかった。
わたしは見てない、でも視線ばかり感じた。
──やめてよ、もうわたしは涼太の彼女じゃないんだから。
そうこころで呟く。
別れたことで嫌がらせからはこれまた自然な流れで解放され、肩の荷がようやく下りた気がした。
でも、それとは別にこころに突き刺さるような何かも感じつつはあった。
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