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□密かに寄せた想い
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わたしは、思う。

赤司くんは人間として読めない、と。




一見、童顔だけど綺麗な顔立ちをしていて、真剣そうな顔つきをするなと思えば、何にも興味のなさそうな顔つきをすることも多々ある。


なのに勉強はいつもトップで、部活でもみんなをまとめる存在。それでもやはり彼はいつもどこか退屈そうな表情を浮かべていたりもする。





だから思う。やっぱりコイツは読めない奴だと。







そんなこんなで赤司くんのことを気にかけ始めて早3ヶ月。


認めたくはないが自分でも薄々気がついてしまったことがあった。




教室に入ればまず赤司くんの姿を探してしまう。

体育館の前を通りかかっても彼がそこにいるか確かめたくなる。

彼が授業で指されればその声をずっと聞いていたくなる。

1人になれば彼の退屈そうにする横顔や真剣にバスケする眼差しを思い出してしまう。




要するに、いつのまにか赤司くんのことが頭から離れなくなっていた。



わたしはこの感情を知っている。これは紛れもない恋。





でもわたしはこんなに赤司くんのことを知っているけれど、実は話したことなんて一度や二度程度しかなかった。



だから、こんなふうに彼を想うことなんてもう終わりにしたかった。終わりにできるものなら。





でもそれができないから今日もこうして赤司くんの斜め後ろの席から彼のことを終始見つめっぱなしなのである。




赤司くんはわたしのほうを見ることなく、さっさと手際よくノートを書いている。



ああ、きっと字も綺麗なんだろうなぁ、と勝手に妄想を膨らませながらそれを表情に出すことなくただ彼を見つめていた。




ノートを書き終えてシャープペンを置くと、また退屈そうに頬杖をついて窓の外を眺めた。




赤司くんはこういうとき一体なにを考えているのだろうと思うことも多々あるのだが、なにぶんとことん読めないのでわたしは尚も毎度の如く見つめるしかできない。







しかし、今日は何故か違った。



いや、わたしが違ったんじゃない。彼、赤司くんのほうが違った。




赤司くんは窓の外に向けていた視線を不意にゆっくりとこちらに向けたのだ。


ただ斜め後ろを見たんじゃないことは明らかだった。





そして赤司くんと目が合う。



びっくりして思わず目線を外そうとするのだが、どうもそらしたらいけない気がして。




そして赤司くんは微かに微笑むとまた視線を前へ戻した。



こんなことは初めてだった。
今までただわたしが赤司くんのことを見てる一方だったのに、彼は何故かわたしを見た。


ただそれだけなのに、こんなにも動揺してる自分がいた。今までにないことだったから。




わたしの視線に気がついたのか、ましてやわたしの気持ちそのものに気がついたのかはわからない。



でも、確実に赤司くんはわたしの秘めたる何かに気がついているような気がしてならなかった。



彼は読めない人だけど、逆に人のことなら何でも知ってそうな素振りをするから。









そして、案の定と言うべきか、その授業が終わるとほぼ同時に赤司くんは珍しくわたしに会話を振ってきたのだった。




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