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□嬉しそうな笑顔
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授業中の静かな教室。


そんな中で寝息をたてながら寝ているのは黄瀬くん。



彼の今の席は教室の入り口から一番離れた窓際の一番後ろ。


内職もし放題、寝ていたって注意されることも少ないといったメリット豊富でみんなからもっとも羨ましがられる席である。



そんなわたしの席は、その黄瀬くんの隣。



それはそれでまわりの女の子が羨ましがるんだけど。





たしかにわたしはそれが幸せ。

彼が今日みたいに寝ている姿を一番近くで見られるわけだし、寝息をたてる音まで聞こえるなんてきっとわたしの席だけ。



そんな彼を近くで見ていることが幸せだった。












「黄瀬ー起きろ黄瀬ー」



その授業で先生に言われてもピクリともしない黄瀬くん。


「神崎、ちょっと黄瀬のこと起こせ」



"ごめん!"と思いながらも黄瀬くんのことを指でちょんちょんとつついてみる。


すると身体をビクッとさせながらわたしのほうを寝ぼけた顔でみてくる。


やばいって…その表情。




「んぅ〜…なんスかみくっち〜…」


「えっと、わたしじゃなくって…先生が」


「黄瀬ぇ!お前あんまり俺の授業寝てばっかだと単位やらないぞ!」


「…うぅ…そ、それは困るっス」




そうして身体を起こしてグッと伸びをして机からノートや教科書を取り出す。


そんな様子を見ながら笑ってた。その毎日が大切で、幸せだった。




「みくっち、いつも起こしてもらって申し訳ないっス」



「黄瀬くんてば寝過ぎ」


休み時間には2人でこうやって話すこともしばしば。



「部活が大変なのは知ってるけど」


「たしかにきついっスけど、楽しいんスよね!バスケ」


嬉しそうに話されるとこっちまで笑顔になる。


黄瀬くんの笑顔は本当にかっこよくて見とれてしまいそうになる。


さすがはモデルやってるだけあって顔立ちは綺麗すぎて、わたしが黄瀬くんのことを独り占めしたいと思ってしまう。



そんな感情はきっと黄瀬くんにはないんだろうな、と思うと少し切ないから、わたしは彼がわたしのことどう思うとか考えないようにはしてる。



本当にただの友達、だし……。





毎日毎日そんなふうに考えては黄瀬くんのことを想って過ごしてた。




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