PLAYERS

□特別でありたい
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彼は仮面を被っている。





まわりの女の子にはいい顔振りまいて自分のそばに置いておかせるくせに。


わたしの前じゃそんな優しい笑みを見せたことなんかない。


そっちのほうがきっと本当の彼であるなんてことは、わたししか知り得ない。




告白をしたのはわたし。振られるだろうと思っていたけど、意外にも黄瀬くんはあっさりとOKしてくれた。


他にもわたし以外に名目上の彼女が何人いるのだろう、とそんな風に最近はあんまり考えることも少なくなった。





"女ったらし。最低"


一応、彼氏ということになっている黄瀬くんにこんな言葉を浴びせたことがある。


それを否定することも肯定することもなくただ"愛してる"と冷めた目つきで言うだけ。そこに愛なんて感じられない。



それが嫌なら別れればいい。どうせわたしだって何人もいる女の中のたった1人の都合の良い奴でしかないのだから。

そう何度思っても結局わたしは黄瀬くんが好きだから、言えない。





あるとき、黄瀬くんが他の女の子と2人でいるのを見た。

わかってはいても、胸が痛い。


だって、そういうときの黄瀬くんの顔は、わたしには決して見せない笑顔で溢れている。



いよいよ本当にただの都合の良い女だということに気付いた。


わたしは、黄瀬くんにとってストレスをぶちまける為の道具のようなもので。偽りの愛を囁いては突き放して冷めた言葉を突きつける。



それでもわたしが黄瀬くんから離れられなかったのはやっぱり、好きという気持ちがあったから。


それと、そんな仮面の下の冷徹な彼は本当の黄瀬くんじゃないと信じたかったからである。


だが、何度彼を信じたことか。そして何度裏切られたことか。

黄瀬くんの言う偽りの愛を信じるわたしが馬鹿という他ないのに。


それでも嫌いになれないなんて、逆にこんな辛いことはない。





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