「あき」
「なによ?」
「好いとうよ」
「またソレ!?冗談(詐欺)もいい加減にしてよね」
「ははは…」
本当にあきはわかっとらん。
いくら俺が詐欺師と呼ばれるからって、言うこと全てが嘘とは限らんじゃろ?
なのに俺の「告白」をあきは信じようとしない。
ははは、笑ってしまうな。
人を騙す為の嘘を見破ってほしいなんてな。
詐欺師として、こいつは一番思っちゃいけないものだろうに。
「仁王、帰らないの?」
「あきは帰らんのか?」
「私は勉強して帰るよ。テスト前だし、なんなら仁王も勉強してけば?」
「そうさせてもらうかの」
俺はあきの隣の席に座る。
横目であきを見ると、髪をかき上げる姿にドキッとしたり。
「仁王、なに見てんの?」
「いや…何でもなか」
「あ……そう」
特に会話もなく、ふたりきりの空間だけそこに存在しているという感じ。
それでも黙々と勉強を進めるあき。
「のぉあき」
「ん?」
「飽きた。話し相手になってくれんか」
「飽きるの早いよ。でもまあ、ちょっとならいいよ」
「じゃあ今日は俺から質問。正直に答えること。いいな?」
「う…うん」
「好きな食べ物は?」
「えっ!?パスタ…とか?」
「じゃあ今度一緒に食べに行こう。次の質問じゃき。今みたい映画とかあるか?」
「あ、あるかな」
「じゃあ俺とみに行くか。次の質問っと……、好きなスポーツは?」
「それはテニスとか」
「決まりじゃな。俺と今度テニスしよう。よし、あきとのデートの約束が3つもできた」
「でっ……デート!?!?」
「今のは全部デートの誘いじゃけど?嫌がらんかったから、決まりじゃの(笑)」
「えっええ!?」
戸惑う様子もまた、見ていてとても面白い。
「デート嫌か?」
「嫌……じゃないけどさ」
「じゃあええな?決まり」
「…〜……」
無言で黙ってしまったあき。
しかしお構いなしに質問を続ける。
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