「丸井君っ!!お菓子あげる♪」
「マジで☆サンキューな」
そんな会話が今日も聞こえてくる。
本当は聞きたくなんかない…。
紗季ちゃんは丸井君と付き合ってもいないのにいつもまわりに聞こえるような声で丸井君と楽しそうに話す。
心なしかあたしに見せつけているようにしか最近は見えなかった。
嫉妬……。
こんなにも妬いてるのが自分でわかる。
休み時間のたびにあの2人は一緒にいる。
紗季ちゃんが丸井君のことを好きなのはわかる。
けど丸井君は……どうなんだろう……。
知りたいようで知りたくない。
あたしも丸井君とは全然仲良くないわけではない。
あたしと丸井君が2人で話すこともある、けど……紗季ちゃんが会話に必ずと言っていいほど入ってくる。
するとあたしは何も言えなくなるのだ。
こんな惨めな自分……消えちゃいたいよ……。
あたしと丸井君は席が隣。
しかし丸井君の前は紗季ちゃん。
結局あたしは何もできなくて。
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴り、みんな席についた。
「はぁ………」
「なーにため息なんてついてんだよい?あき!」
隣から不意に話しかけられて、ドキッとしてしまった。
「えっ…あ、何でもないよ」
無理に笑顔をつくって返す。
「本当かぁ?笑顔引きつってる」
「へ!?あ、ははは……」
「具合悪い?」
「ううん、平気だよ」
「本当かよ?」
「うん!ありがとう、丸井君」
「お、おぅ……」
少し、照れた顔をしていたと思ったのは、気のせいかな?
でも、案の定前の席から紗季ちゃんが丸井君に話しかけた。
「次の授業なんだっけ〜?」
「次数学。けど俺サボるわ」
えっ?なんで?
数学嫌いだからかな…。
よいしょ!
と言いながら席を立った丸井君。
「さて、行くか!!あき!!」
「…え!?」
な、何であたしも?
丸井君は有無を言わさずあたしの手を掴んで席から立たせるとそのまま引いて教室から出ようとした。
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