King

□君が来るのを
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「──仁王雅治。あれ、仁王。仁王来てないか?」



「今日もあいつサボりかよ。まっしゃあねぇっちゃしゃあねぇか」



朝の出席を取っているとき、またいつもみたいに仁王が来ていないらしい。


ぬーっとした顔つきで丸井がガムを膨らませていた。




はぁ…雅治ってばなんで今日に限って来ないんだか。



昨日電話であれほど言ったのに。



“そういえば雅治、明日誕生日だよね?”

“ほう、そうじゃの。覚えててくれたか”

“当たり前でしょ?渡したいものがあるから、明日はちゃんと学校来てよ?”

“行けたら行くナリ”

“もーっ!待ってるからね”





って言ったのに……。


あれはある種の約束でもあったのに、雅治が来る様子はない。大事な日に彼女を待たせるなんて…雅治ってば本当にいい加減なんだから。



呆れた様子でいたら、すぐに授業が始まってしまった。




「えー……ここの式は…となって………」


授業なんか身に入らない。


さっきからずっと教室の扉を見つめていた。

あの扉から、雅治がいつもみたいに「遅れてすみません」とか言いながら入ってくるのを期待して。





そんな期待は見事に裏切られ、3時間目も終了してしまった。



ほ、本当に今日は来ないの…?


初めて本気の不安にかられた。


ちゃんとプレゼントも持ってきたのに。

雅治の為だけに編み込んだマフラーだ。

これからもっと寒くなるし、誕生日である今日に渡したかったのに。




学校にも来てないのかな?






次の時間は体育だった。
でも出るつもりはなかった。なぜなら、なんとなく…だけど雅治が学校にいる気がしたから。




「あれあき、体育出ないの?」


「うん、ごめんね」



授業が始まって、しーんと静まり返った教室から、編み込んだマフラーを持って出た。





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