──年が明けた。
いつもと変わらない正月。
同級生やら先輩達からたくさんのあけおめメールと共に幕を開ける。
まぁ…女子ではないからそんなにたくさんって程でもないけど。
そうそう!女子といえば俺は昨年の夏に記念すべき初彼女ができた。
名前はあき。
でももう冬休みだというのにキスどころか手も繋いでない。
なかなか勇気が出せない俺…情けねぇ…。
今日は元日だから家であれこれすることがあっけど、明日は前々から約束してた初詣デート。
くぅーっ楽しみだn……
ピピピッピピピッ
と、急に鳴り始める俺の携帯。とっさに俺は直感した。
絶対、あきからだ!
案の定それはあきからの電話で、自然と顔に笑みがこぼれる。
「もしもしっ!」
『あ、赤也?あけましておめでとう』
「おう、今年もよろしくなっ」
年が明けてから話すのはこれがはじめてで、何か緊張した。まるで初デートの時みてぇ…。
「?どーかしたのか?」
『ううん。年明け一番に赤也の声が聞きたかったから』
「うわ、めちゃくちゃ嬉しいこと言ってくれんな、おい」
『へへっ…//』
照れてるのがわかる。そんなところも可愛くてしょうがない。
「明日のことだけどよ」
『うん?』
「10時にあきんち迎えに行くから。待ってて」
『わかったぁ。ありがとう』
「おう。じゃあな」
『うん、また明日』
そうして電話を切った。
明日楽しみだな…新年初のデート。新鮮すぎてなんか緊張する。
そこで俺は考えた。
まだ俺達、付き合ってるけど何も恋人らしいことできてないから…だから明日こそ!
あきとファーストキスを……いやキスじゃなくてもいいせめて抱きしめたい……いやいや、あわよくば手を繋ぐだけでもいい!
と、ニヤニヤしながら妄想してたら、姉貴にめっちゃ変な目で見られて、こう呟かれた。
「……キモ」姉貴は苦笑いだったらしいが、そんなのはもう目に入っていなかった。
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