今日もまた、同じ朝がやってくる。
いつもと変わらない朝が。
花に水をやり、朝ご飯を食べ、学校へ向かう。
ただそれだけなのに、今日はいつもと違う。
隣に君がいないから。
毎朝待ち合わせをしていた場所にいっても、君はいなくて。
「あき……」
名前を呟けばすぐ来てくれそうな気さえした。
でも もう君はいない。
昨日まで、あんなに楽しかったのに。
──
「あき、話ってなに?」
放課後の帰り道、急に彼女のあきは俺を暗い面もちで引き止めた。
「あの、ね……精市」
「?」
「私達、もう終わりにしない…?」
消えそうなくらい小さな声だったが、今の俺には十分すぎた。
「…なんで…いきなり?」
「他に……好きな人ができたの」
「だから、俺との関係はもう…いらない…?」
するとあきはゆっくり頷いた。
「ゴメン…ほんとにごめんね…」
「…………」
「じゃあね、精市…。バイバイ」
俺に背を向けていなくなった。
追いかけることができなかった。
俺はまだ、今でも君のことが好きなのに。
──
「あき……」
再び名前をつぶやいた。
すると信じられない光景をみた。
いつもの待ち合わせの場所に、ゆっくり歩いてくる女の子。
すぐにわかった。
あきだった。
一気に気持ちが高揚し、声をかけようと喉元まであきの名前が出かけたとき、俺はすぐさま硬直した。
あきの隣に知らない男子の姿があったから。
楽しそうに笑う君。
俺はそれを見て思わず目をそらした。
辛くて、辛くて。
恋ってやっぱり、テニスとは違って、うまくいかなかったりするみたいだ。
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