Sweet
□俺には必要
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「あちゃー、またやってしもた」
「あき」
「げっ光!これは見なかったことにしてや」
「…………ハァ」
またまた呆れられてもうた。
うち、もう1年以上ここのテニス部のマネージャーやっとるのに、ドリンクはうまくできたためしがあらへんし…。
何やってもダメで仕事や雑用もテキパキとできひん。
いわゆる“鈍くさい奴”なんや。
毎日のように財前に言われ続けとる。
まだ誰からも辞めたらええ言われてへんけど、きっとみんなそう思ってるに違いあらへん。
せや、財前やって……。
「………はぁ」
「何であきがため息つくん?」
ラケットを肩にあてながら(偉そうに)言った。
「やってほらー…うちなんてマネージャーのくせに鈍くさいやん?光がいつも言うてるとおりや」
「確かに鈍くさい(即答)」
なんもそこまでキッパリ言わんでもええやん…。うちやってほんまに一生懸命にやってんねんで!
「でも、ほんまにうちが部におることが迷惑なら…辞めんねん、部活」
すると光ははっとしたようにラケットを肩から下ろしてじっと下を向いた。
「……俺は、」
「財前!休憩は終いやで!次は試合形式の練習やから早よ戻らな!」
「、先輩が呼んでんねん。行くわ」
光は行ってしもた。
何て言おうとしたんやろ…
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