Sweet
□気まぐれな貴方
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「謙也、千歳はどこ?」
「千歳今日もまだ来てへんわ。気まぐれな奴やから、まあしゃあないな」
千歳千里はあたしの彼氏。
けど気まぐれすぎて学校には来たり来なかったり。
遅刻も珍しくない。
なのになのになのに……
頭だけは良すぎる。
千歳、いつ勉強してるのよ。
公園で昼寝してるとか、そういった目撃情報もしばしば。
こういう時にメールしても返事は必ず、“部活は出るばい”である。
部活で会えればいいけど。
ちなみにあたしはテニス部のマネージャーです、はい。
学校生活ではあんまり会えない分、休みの日はいつもどこかに連れていってくれる。
それも楽しみ。
軽いため息をはいて廊下の壁によりかかっていたら、背が高くて一際目立つあたしの彼氏、千歳がお昼前に登校してきた。
「千歳今日も遅かったな」
謙也が言う。
あたしは横で聞いていた。
「近所の犬と公園で走り回っとったばい(笑)あき、遅くなってごめん」
「ま、いつものことじゃん(笑)」
「おお、そうや千歳。今日はテスト前やから部活ないそうやで」
「ならあき、今日は二人でどっか行くばい」
「本当!?やったーっ!!」
嬉しくて、つい本気で喜んでしまった。
「あーあ千歳…うらやましいやっちゃな。俺も彼女ほしいわ」
「白石に彼女の作り方聞くとよかばい」
「いや、白石はモテてるだけやろ」
「ま、せいぜい頑張ってね謙也〜」
そこでちょうど休み時間が終わり、廊下にいた人達はみんな流れるように教室へ戻っていった。
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