Sweet
□やっぱりヘタレ
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3月17日、謙也宅。
「謙也ぁ、今日誕生日なんやろ?おめでとさん」
「あ…あき。覚えててくれたんか!」
「なんやソレ!?彼女に対する言葉やないで」
「すまんな。ほんま、おーきに」
今日は俺の誕生日や。
結構忘れられがちなんやけど、あきはきちんと覚えててくれたらしい。
けど──何でプレゼントないんや?
「あき、プレゼントとかないんか?」
「あー…家に忘れてもうた。なっ謙也!その自慢の足でうちんちまで取りに戻ってーなー」
て、ねだるあき。
何で俺が取りに帰らなあかんのや。
と思いつつも取りにいくはめに。
『うちの部屋入ってすぐ右に置いてあるはずやから、頼むで?』って、あきは言うてた。
ったく…
「自分で取りに帰れっちゅー話や!」
ぶつぶつ言いながらあきの家に着いた。
忘れ物取りにきただけやけど、彼女の家てやっぱ緊張すんねん。
ピンポン押して上がらせてもろた。
何度も来たあきの部屋に入ると、なんやこっ恥ずかしい気持ちになった。
相変わらず綺麗に整頓されとる。
コルクボードにはっと……なんや、俺の写真一枚も貼られとらんやんか!Σ
心の中で、どこか不安になってしもた。
それはそうと、部屋に入ってすぐ右とか言うてたけど、右側にはさっきのコルクボードがある壁しかなくて、他に何も置かれてへん。
どこや?
あきの勘違い?
どんどん不安になってく自分が情けなくなってきた。
とりあえず、部屋を探したが、それらしきものはあらへん。
「どないなっとんねん…」
ぶつぶつ言いながら探しとったらふとした拍子に手がコルクボードにぶつかってしもた。
ガタン!!!
音をたてて壁から落ちたコルクボード。
「しもた!」
拾い上げようとしたら、
…あれ?
コルクボードの裏にも何か写真が貼ってあるっちゅーことに気がついた。
「なんやこれ?」
気になって裏返しにして見てしもた。
俺は唖然とした。
だってそこには、
あきが俺と2人で撮った写真に、俺がテニスしてるとこ、終いには俺の寝顔までも貼ってあったからや。
あき…いつのまにこない俺ばっか撮ってたんやな。
恥ずかしいわ。
ほんま、俺ばっかやん。
不安すぎたけど、これを見てまたあきを愛しいと思った。
プレゼントのことなんてすっかり忘れて、ダッシュであきの家を後にした。
いますぐにでもあきのとこに行って抱きしめたり、手繋いだりしたかった。
はやる気持ちを抑えきれへん。
俺は自宅に戻ると、すぐさまあきのいる居間に駆け込んだ。
バンッ!!
「あきっ!!」
て、あれ?
居間は真っ暗でなにも見えんようになってた。
「ど…どないなってんねん!?」
びっくりしてあたふたι
すると、近くに…というか周りに、人の気配を感じた。
すると次の瞬間───
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