Sweet
□きみとのキス
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新学期が始まってすぐ、やってきたこの日。
うちがどれだけ楽しみやったかなんて、わかるわけない。
「蔵、今日誕生日やねんな?なに欲しい?」
「おめでとうもなしかいυ…俺はせやなあ…あきの愛が欲しい(笑)」
「きゃー!変態蔵ノ介君てば困ったもんや」
「変態とかなんやねん!ちゅーかっ、冗談やろ冗談」
「はは、冗談やと思っとったわ。だってうちはいつだって蔵に愛を注いでるっちゅーねん♪」
そう言うて蔵にさりげなく腕を絡めてみたりする。
嫌がる様子もなく、軽く笑ってる蔵。
「あき、そんなんで愛を注いでるつもりか?全然伝わってこーへん(笑)」
わかってるくせに。
蔵はいつもうちに意地悪するんや。
腕絡めるのやてほんまはめっちゃ緊張するし、恥ずかしいねん。
それをわかってるくせに蔵は……。
「つ…伝わってこーへんとか意地悪言うんいい加減やめへん?」
「意地悪やないで?ほんま、愛情足りひんやって(笑)」
「じゃあ……蔵はうちに何してほしいん?」
すると、蔵は急に歩くのをやめた。
「今すぐここで俺にキスして」
「は!?!?」
「あかん?できひん?」
「でっできるわけないやん!」
まわりにはそれほど多くはないけど、人がおるし…それにキスとかめっちゃ恥ずかしいやん。
「ほら、いつも俺からしてばっかりやろ?誕生日くらいあきからしてほしい」
「せっ、せやけどだからってこない人前でなんて」
「わかってへんなー(笑)周りに見せつけてやりたいんや。軽くでええから、な?」
軽くって…当たり前やん!
こないな場所でディープなやつはあかん!
「ほら、今なら人あんまおらへんから、チャンスや」
「………」
ほんまに?
蔵はもう目を閉じてて、だいぶその気。
そんな蔵に揺さぶられとるうち。
早ようやらんとあとが怖そうな気もした。
それに、蔵の無防備な唇をみてると………あかん。
したいって気持ちになってまうやん。
意を決して、これが誕生日プレゼントやと思って蔵に一歩近づいた。
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