krbs

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さて、家の場所も、そもそもここが何処なのかもわからないまま校舎をでて、只今校門前。
学校名をみると海常高等学校の文字。
海常ねえ。海でも近いのかしら。
ま、それはいいとして、ポケットから携帯を取り出す。
データを見てみると新品のように電話帳には誰の番号も無い。
覚えている母親の番号にかけてみたが現在使われていないようだ。
次にネット接続を試したが、こちらは普通に使えるのでこの携帯自体は使用可なのだろう。
では早速、鞄から生徒手帳を取り出して住所を打ち込む。
あ、ここ神奈川県なんだ。
新事実が発覚したところで、高校名を入れてルートを検索した。
うん。携帯ってなんでこんなに便利なのかしら。
世の中の科学技術に感謝して敬礼。
…よし、帰ろう。
出たルートに従って歩きだした。


-act.2-


「だからここどこ」

ルートにそって歩いてきたのにも関わらず迷うってどういうこと。
さっきから同じようなところをぐるぐるぐるぐる。
一度落ち着くために、何故か何度も見た公園のベンチに座った。
この公園もこの短時間で4回はみている。
なぜ、なぜなの。
方向音痴なんてスキルもっていないはずなのに。
ええい忌々しい!
しかも歩き過ぎて大分具合が悪くなってきた。
そうよ私がもってるのは虚弱のスキルよ。
ああもう一体私は何をやっているんだと手で顔を覆ったその時

「あれ?先輩?」

またもや聞こえた声に顔をあげた。

「あなた…」
「やっぱ大丈夫じゃなかったんスね。顔色最悪っス」

そう言ってイケメンくんはベンチに座っている私の前にしゃがんだ。

「家どこスか?送るっスよ」

それがわかったら今私はここにいないのよ。
ああでも迷子だなんて、今は未成年だけど本来ならもう成人している大人が、今も本来も年下の男の子に迷子だなんて…言えない。
恥ずかしくて言えない。

「先輩?」

答えに迷っているとイケメンくんが不思議そうに首をかしげた。
そうよね、折角親切心で言ってくれているのだから無下にしたらダメよね。
それにここで彼に道を聞く以外の選択肢なんて存在しないのだから、私の年上としてのプライドなんて取りあえず横に置いといて正直に聞きましょう。

「あの、ね、ここが家なのだけど」

そう言ってルート検索された地図画面を見せた。

「…もしかして、迷子スか?」
「うっ」

ああもう恥ずかしい。恥ずかしすぎるわ。
羞恥で顔が熱くなるのを感じた。

「俺の家と近いんスね。じゃ、行きましょうか」
「えっと」

道を教えてくれるだけでいいのだけれど。
そういう前に彼は公園の出口の方をみて叫んだ。

「笠松センパーイ!俺先輩送ってくんでここで!お疲れ様っス!」
「ちょ、そんなの悪いわ。道を教えてくれれば大丈夫だから」

まさか誰かと一緒だとは思わなかった。
考えたらわかることなのに申し訳なさすぎる。

「さっきも大丈夫って言ってたけど大丈夫じゃなかったっスよね?」
「それは、その」

本当に大丈夫だと、なんとかなると思ったからでまさか私だって迷子になるなんて思ってもみなかったから。

「んじゃ、帰りましょ」
「…お世話になります」

少し曖昧に笑うしかなかった。


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そしてまた名前変換無。黄瀬くんのしゃべり方難しいんですけど。「ッス」って何処でつけて何処で付けないのか悩む。取りあえず語尾に含ませる感じでいこうと思うのだが。勉強します。



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