krbs

□04
1ページ/1ページ


さて、今日から二回目の高校生活が始まる。
昨日結構早く寝たせいか、起床時間は朝六時半。なんて早起き。
することもないので学校へ行く支度をして気付く。
お弁当って必要よね。
キッチンへ向かって冷蔵庫を開けると言わずもがな空っぽ。
朝はもともと食べない派だからいいとして、今日のお昼は購買でパンでも買おう。
で、帰りにどこかスーパーによって明日からお昼も自炊。
よしよし、じゃあ学校にいきましょうか。


-act4-


「白岡雪野です。よろしくお願いします」

転入の挨拶も緊張することなくすませ、指定された席に着く。
こんな中途半端な時期の転校生なんて珍しいのかクラス中から視線を感じるが、まあそれは仕方がない。
質問攻めにあうのも転校生の勤めだ。

「私、園山樹っていうの!男の子みたいな名前だけど、気に入ってるから出来たら名前で呼んで!」
「たつき…どういう字を書くの?」
「樹木の樹でたつき!いつきじゃなくてたつき!」
「樹、ね。私のことも名前でいいわ」
「やった!じゃあじゃあ、雪野ちゃんって呼ぶね!」
「ええ、よろしく」
「こちらこそー!」

転校生ということで後付けされた机は当然一番後ろの端。
廊下側ではなく窓側という素敵ポジション。
前の席に座っていた女の子は見た目も可愛い系でツインテールがより彼女を引き立てている。
話し方も元気いっぱいで、文字に起こしたら絶対最後に感嘆符が付くのだろう。
少し幼い気もするが微笑ましい。
そんな感じで友達もでき、高校生活を順調に過していたある日。

「雪野ちゃん雪野ちゃん!」
「…樹?どうか、した?」
「なんか顔色悪いよ?大丈夫?保健室いく?」
「そう、ね。ちょっと、保健室に、行ってくるわ」
「ついて行かなくて平気?」
「大丈夫よ。それじゃあ、先生によろしく、ね」
「うん!でも途中で無理そうだったら連絡して!ワンコールでもいいから!」
「ありがとう」

心配そうに眉を下げる樹に手を振って教室をでる。
朝から少し調子がよくなかったけど午後には治ると思っていたが、まさか悪化するとは。ぐらぐらと揺れる視界の中何とか保健室まで辿りつこうと壁つたいに歩く。
でも、なんだかもう限界かもしれない。
倒れる前に樹にワンコールしなきゃ…でもそんな気力ももうない、し、あ、倒れる。

「白岡先輩!」

どこかで聞いた声に呼ばれた気がした。


-------


「……ん」

目を開けると白い天井。
多分ここは保健室。
具合がどんどん悪くなって、樹に保健室進められて、一人で教室をでて、それから、それから…ああ、倒れたんだ。
それにしても誰がここまで運んでくれたんだろう。

「あら、起きたの?」

閉まっていたカーテンが横に引かれ、保健室の先生が顔を出した。
優しそうな先生。
私が高校生だった時は昔看護師をやっていた三十代くらいの先生だったから、対応が病院みたいであまり保健室には近寄らなかったのを覚えている。

「具合はどう?顔色は大分良くなっているけど」
「大丈夫です。よく休めたので楽になりました」
「そう?ならよかった」
「あの、ここまで私を運んでくれた方って」
「えーっと、ちょっと待ってね。確かここに名前が…」

そう言うと先生は名簿を確認した。

「そうそう、一年生の黄瀬涼太くんだったわ」
「黄瀬くんが…」
「ええ。貴方を横抱きにしてそれはもう凄く焦った顔で入ってきたわ」

その時を思い出して先生は可笑しそうに笑った。
って、え?

「よ、横抱き?」
「美男美女でお似合いだったわ」

また彼に迷惑をかけてしまった。
申し訳ない。
申し訳ないが、なぜ横抱きで運んだの黄瀬くん!
恥ずかしすぎる。
もう穴があったら入りたい。
いやもう自分で掘るわ。
掘って入るだけじゃなくて埋まるわ。

「確か彼バスケ部だったわね。今ならまだ部活動も始まったばかりでしょうし帰るついでにお礼を言っていらっしゃいな」
「は、はい。そう、します」

ありがとうございました。
と一つ礼をして保健室を後にする。
ああ言ったけど、合わせる顔が無いんですが。
私みたいな一般人が黄瀬くんのようなイケメンくんに横抱きだなんて。
でも授業開始間際だったはずだからきっと周りに人はいなかったはず。
いや、うん、そういう問題じゃないのだけれどね。
これはもう腹を括って黄瀬くんに会いにいきましょう。
さすがにこれだけ迷惑かけてお礼の一つも言わないなんて常識的にありえないわ。
バスケ部ってことは体育館よね。
お礼…今何も持ってないけど手ぶらで行くのはさすがにどうかと、取りあえずスポーツドリンクを買って行きましょう。
ちゃんとしたお礼はまた後日ということで。
自販機によってスポーツドリンクを買い、体育館へと足を向けた。


-------------

あれ、黄瀬くんいた?本当は場面変わるところで切ろうと思ったんだが短すぎかと思ってつなげてみた。次は黄瀬くんでるよ。めいびー。



[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ