2nd season 「Time」 

□弄ぶ
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Shadow-side


三行詩ぐらいの文句を唱えろ

何でもいい

お前の声が聴けるなら





『Be loyal to your master.
 Observe proper etiquette.
 Do what's right withou besitation.
 Show compassion for the weak.

主君に忠義を尽くす
人としての礼節を重んじる
正しいことを敢然と実行する
弱い者には慈悲をもって接する』   




武士道の一節を持ってきやがった

ああ

その通りだ





これから

何度でも

何度でも

ピカの声で唱えるのを

俺が聴く



























2nd season 「Time」弄ぶ



 ノストラ−ド組員。それぞれにいろんな事情を抱えてここに集まって来た。各自の目的に近づく為の手段に過ぎない。だから、組員どうしが自分の能力について明かすことも少ない。バショウ、センリツに関しては、自己紹介程度に自分の能力を出して見せた。それは、最初から右手に鎖を束ねている私に対しての礼儀ともとれる。だが、ビンセン、私よりもさらに細身の男は、いっこうに謎だった。ヨ−クシンでは先頭に立って戦うこともせず、かといって敵に遣られるでもなく、ほぼ無傷での帰還。自己主張をせず、指示された命令には従う。だが、私にはどうしても一線を引いておきたい、うかつには近寄りたくないものを感じていた。




 空港に降り立ち、妙な感覚に包まれた。


 一番、気にするところの時刻。今、何時か?これが、ほんの少しずれているように思われる。機体が到着するのが、予定時刻よりも早いということが有るのだろうか?いつも無理な増便により、管制室は秒単位の指示を出していると聞いていたが。

「リ−ダ−。こちらです」

短い言葉には、挨拶も遅れた言い訳も何も無い。かえって最低限の言葉の投げかけによって、有無を言わせないだけの威圧を最小限に抑えているのだろうか?
 用意されていた車の後部ドアを素早く開き私が滑り込むと同時に閉めた。
 特に会話も無く、運転も上手い。革張りのシ−トに身を沈め私は目を閉じた。組の状況の報告させ、当面の方向性を示す。到着したら、自室にセンリツを呼び紅茶を煎れさせよう
・・そんなことを考えていると、ついストンと眠りに落ちた。

 次に気が付いた時、目の前には、今まで見たことのない、ビンセンの顔があった。







「何のつもりだ?」
「見てのとおり」

私の愛用のダガ−を鞘から引き抜き首に押し当てている。それは頸動脈を狙ってはおらず、喉が狙いだ。仕草からして稚拙、今、思いついたに違いない。

「目的は?」
「ネオンに手を出すな」
絞り出すような声。ああ、そうゆうことか。
「誤解を解いておく。私にその気は無い。この組で一生を終えるつもりも無い。なんなら、リ−ダ−を代わってもらえるとありがたいが?」
「いい気なもんだ」

 容姿でいろいろと言われるのは、初めてではない。だが、正面きって恋敵と勘違いされ、さらに愛用のダガ−を奪われた。表面上、操作を装っている私は、愛用品を奪われたことで、相当な痛手を負ったことに成っている。これはビンセンに私が具現であることを気付かれていない証拠でもあるが・・。仕舞には、思いもしない条件を突き付けられた。一時でもコイツを仲間だと思ったことを後悔した。今後、何食わぬ顔で職場で顔を合わせ、ミッションをこなし、しかもバショウとセンリツをビンセンから守っていかなければならなくなった。



 無言で差し出された薬瓶を一気にあおった。

私は、服を脱がされ這い回る知らない手から逃れられない。身体を触られ遊ばれている。ネオンを好きだと告白したその舌が私の身体を舐め回す。今、ビンセンは完全に私をネオンの身代わりとしているのだ。なぜか私は、それが滑稽で悲しかった。防弾仕様の黒塗りの車が、片田舎の道端で少し揺れていても、誰も気にも留めない。もしも気が付いたとしても、警察でも見て見ぬふりを決め込むだろう。・・・かなりの時間が過ぎた。
 

 
 何も無かったように、車は屋敷に到着した。

「ビンセン、ご苦労様。時間どうりね」

センリツの言葉が私の胸に突き刺さった。

 時間軸を遣う私は、別の意味で衝撃を受けたのだ。ビンセン・・・こいつは、他人の時間を奪う。初めてのタイプだ。それが、ひとりから何時間も奪えば問題だが、コイツは自分の円の範囲の生き物から、ほんの少し、例えば30秒とかそれぼどの時間を奪うのだ。30秒ならば盗られても気が付かない。それが10人いれば5分、円の中に100人いれば50分間、先ほどの空港にはどれぐらいの人がいたのだろうか?これが、ビンセンの表面上の力。まだ見せていない裏ワザがあるはずだ。時間のはざま。気が付かない第四の軸に引き込まれたのだ。
 これが、私の時間軸の過去、現在、未来の3本という考えを揺り動かした。結果、たいした術ではなかったのだが、私には大きく影響した。体温が急激に下がる。これを打ち明けられるのは、レオリオでもセンリツでもない、師匠だけだ。
 影の飛べる範囲を考え、どうにかして今来た場所に・・せめて同じ国に・・

「クラピカ?顔色が・・」

センリツの声が遠ざかり私の視界は暗転した。










北半球の島国に興味を持たせ、ゆっくりと計画を実行に移した。
 ビンセンの薬と似たものを探す為、イルミ経由でゾル家から薬草を取り寄せてみた。いろいろと試してみたが、どうも同じ味には辿りつかない。何に作用するかということまでは絞り込めた。
 神経系だった。

 レオリオから持っておけと押し付けられたダガ−は、ビンセンに奪われたまま。無駄な時間が過ぎていった。



悩んだ挙句、一本のメ−ルを送信した。

『t'p4417501431923,394111,2559522213,5510432133』




































弄ぶ Shadow-side









『t'p4417501431923,394111,2559522213,5510432133』

いきなり来たメ−ルは
ひねくれていた

ま、俺には簡単だがな
Curarpikt の短縮でp't これでピカと読ませる
t'p と来たか
全部を裏返す
『3312340155,3122259552,111493,3291341057144p't

さて、どっちだ
ああ
ご丁寧に俺用か
『すいせんの さくころに あえる しらせをまて』
『水仙の 咲く頃に 逢える 知らせを待て』

何か
やばいことに
掛かったな

『6181719351,85-41"10,432114,124375634192』

俺は
反転はしなかった
















Curarpikt-side



伝言は走ったのか?
貴様、何をしている?
嘘だったのか?




ひとりで抱えるには
重すぎる
他に深い話も出来ない




助けろ!貴様、私の師匠だろう
お気に入りの弟子が
苦しいと言えずに待つ




教えろ!貴様 私の師匠だろう
私は人に甘える術を知らない
少しは心を開いてやってもいい

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