長編   隠者の書

□隠者の書「破」警告
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「イル」
「じっちゃん、どうだった?」
「急ぎじゃ、クラピカ繋がりの人物に警告を流せ」
「なに、そんなにヤバイ山なの?」
「ヒトでは無いのじゃ」
「コワ〜〜」
「出来れば願い下げじゃ」
「何で、その場で断らなかったの?」
「イルの顔もあるしな。いきなりの話しを聞き入れるとも思えんかったわ。軽く警告してやったがな」
「なるほどね。思い込んだら一直線だもんね」
「真剣で、可愛かったぞ」
「なに?自慢?」
「じゃな」
「了解!」











「サトツか?」
「これはゼノ様、お久しぶりです」
「最近、金髪の可愛い子とデ−トしたんじゃよ」
「ほう。珍しい事で」
「軽めに警告しておいた」
「なんと」
「若いのう・・聞く耳を持たぬ」
「また会うのじゃが、何か伝言してやろうか?」
「燃やした、と一言、お願いできますか?」
「承知。 ・・あれには、親しい友がおったの。連絡を入れてやれ。開けてはならぬ。できるだけ、怖がるようにな」
「すぐにとりかかります」











「ワカが、何やら封印を解こうとされておるようじゃ」
「何ですか?」
「世の中には知ってはならんことも在るのじゃ難しい条件でせっかく封印したものを」
「開けてしまったら、どうなるのですか?」
「小竜。安易に私に答えを求める前に、なぜ封をする必要があったのかを考えよ」
「災い・・なのですね」
「隠すのは「宝」とは限らんのじゃ」
「眼で見える物では無いと?」

長龍は、しげしげと私の顔、からだをご覧になった。

「小竜。ワカのお傍に行くのだ。ワカ様をお守りすること。それ以上にワカ様が大切にされているお方をお守りすること」

これには憤慨した。長龍よりも現人神の静の王子は上だ。それよりもさらに上位が在るなどと、思いもしなかった。
「何故?大切にされている方がワカよりも上?」


長龍は答えなかった。その代わりに
「会えたら、真っ先に伝えよ!『昼と夜で色を変える光』と。必ず。  小竜!」
「はい」
「私とは、これで別れじゃ。もしも今度逢うことが出来れば、ワラベ、小竜、次の名を与えよう」
「心分身でも霊界獣でも無く、龍に?」
「人と成り、その短い一生を送るか、龍となり千年もの長き命で土地を見守るか、それは主人の決めること。小竜は従うのみじゃ」
「はい」

長龍の胴に守られていた自分を切り離す。もう、傷を負っても飛べなくなっても頼るものは無い。ドキドキしてきた。ひとりで、遥か北の国まで賊に見つからないように飛ぶのだ。
 ワカ様に出来たのだ。小竜に出来ないわけがない。自分に少しでも有利なことを思ってみたりする。それでも、今すぐが良いのか?夜を待つほうが良いのか?長龍に聞けばよかった・・ああ、それも自分で決めるのか・・と不安になった。
いつまでもグルグルと里を巡っていた。

『昼と夜とで色を変える光』伝えなければ!

 意を決して空高く舞い上がった。




ワカ様の命よりも上なものが在るのだろうか?
『命』よりも『令』を優先?
さかさまに考えると、ワカ様は自分よりもその方を守ろうとされているということか・・・。


夜になり、南十字星を背に、少しでも距離を稼ごうと急いだ。











シャルからの通話だ。

「シャドウ!エマ−だ!」
「何だ?」
「ホ−ムコ−ドが大変なことになっている。見た?」
「クラピカにも着ているはず。お願い。ひとりで見ないように付いていて!」
「そんなにすごいのか?」
「何故?出発を早めたのか理由を知りたいんだけどシャドウ解る?」
「助っ人の勧誘と月の満ち欠け」
「・・やっぱり・・他に、クラピカに変化は?」
「軽く毒を盛られ2日無駄にした」
ヒュッ。 シャルが驚いて息を飲む。  「帰ってきて!今すぐ。もう、欲しくないから」
「バカか。おそらくクラピカは止まらないぞ。それだけの準備もしてきた。覚悟も半端じゃない」
「シャドウ!!」

シャルの声は叫びになっていた。

俺はこちらから一方的に通話を終了した。


















レオリオがホ−ムコ−ドにアクセスすると、緊急を知らせるメッセ−ジが点滅していた。

  「Cの無謀な計画を阻止せよ!」

画面を見たまま、しばらく固まった。もう一件、入っていた。サトツからの、頼みごとだった。

「うそだろ・・・」

クイズババの意地悪な顔が浮かんだ。
「親と恋人、どちらかひとりしか助けられない。どちらを助ける?」

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