短編   Feint

□Feint 本部にて
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俺は、ハンタ−協会からの再三の呼び出しを無視した結果、私有地にヘリが到着し、強制的に拉致られた。(この言い方は正しくないらしい。誰かが、俺を気遣って私有地まで踏み込み、生存の確認をしたのだと言い張る。ほっといてくれ!)

 表向き、「話し合い」と銘打ってあるが、それはほとんど尋問と言った方があっている。そのキタナイ手法に、どこまでも無言で受け流す。これで13日。最低限の意思表示意外は、相手が誰だろうが目もあわせない。(まさか、ネテロほどではないだろうが、誰が瞳術遣いなのかわかったものじゃない)これを徹底した。



 ネテロ亡き跡、今は本部でも派閥争いが再燃している。
日和見のメンバ−も右往左往、真実を見極めようなどとは誰もせず、自分の保身だけが全てだ。その態度も見え見えだった。





 何よりも、俺が口を利かない訳、それは(本人は知らないだろうが)幻影旅団に関する聴取だからだ。ピカサイドからは追えないはず、とすれば、ハザマノブナガ・・このあたりから、俺に繋がったのだろう・・。ハザマの息子を探していることを知っているのは数人。この中に裏切り者が居るわけだ。なるほどな。まさかと思うが、これがビスケだったら、もう、何の相談も出来はしないということだ。恐ろしくもあり、悲しくもあった。すべてが想像だが。最悪、ビスケの密告だった場合、その矛先は直ちにピカに向けられるだろう?
(他の誰にも殺させない!やるならば俺。理想は相打ちだ!)

 最近の旅団の体質が変わった、というのがその発端。発信元は闇の病院。
 担ぎこまれたマフィアの頭は、完璧に精神をやられていたらしい。そいつはおそらく、緋の眼を持っていたんだろう。
「殺しはされなかった。・・・ただ、見つめられた!」ようやくそれだけ言うと、あとは発狂するのだと。聞けば、夜中でも部屋の明かりを消すことが出来ず、まともに眠ることも出来ない。その様子は、まさしくピカそのものだ。(楽しいか?たくさんの自分を拵えることが・・。おまえ、とうとう、そこまで達したのか?)



 あと、7対。  そう、言っていた。



 一般人がもし、ピカの『紫』を見れば、どうなるか?考えただけでもゾッとする。どうやら、ピカは、「死ぬよりも生きる方がよっぽど辛い」という事実を、所有者ひとりひとりに直接対峙して知らしめているらしい・・。そうとうヤバイ方法だ。
 まぁ、それだけ、周りが慎重にお膳立てして詰めていき、とどめに水戸黄門が葵の御紋を突き出す様に、生きている緋の眼、もしくはその前の色変わりの紫を見せているのだろうな。
(バカか?)
「赤目の呪い」
こんなカキコミが裏サイトに踊るのも、時間の問題だ。(むしろそれが狙いか?)闇のパ−ツ事件で、何よりもサイトへのカキコミに辟易したであろう〜ピカ本人が、まるで、どうぞ好きにカキコんでくれ!とでも、言っているようだ。








さっさと済ませたい。そんな感じだ。
(さては、心を閉ざしたな?)
裏の顔に徹することでただ、毎日をやり過ごしている・・そんなところだろう〜。まるで、俺へのあてつけだ。はじめから、こうなることが解っていた様に、驚きもしない自分に腹が立った。「生きろ、お前はひとりじゃない!」こう、暗示を掛け続けてきた。しかし、それは、ピカに果てしない生き地獄を無理に歩かせているようにも思えてきた。自分に関わると、碌な事は無い・・近しい友人にはそう思わせ、離れさせたし、ピカ自身も極一部の人間にしか心は開かない・・。一緒にいると危険だからだ。結局、生きていてもひとりだ。しみじみ、そう感じたにちがいない。



『そのお品、そっと処分いたします』

所有していれば、どこからともなくA vengeful ghost
(怨霊)がやって来る! そんな噂を流し、さらには、それを黙って差し出せば、悪いようにはしない・・。と流しているのは・・・おそらくシャルだ。

 そうなると、実行犯はピカのほかに、クロロ、フェイ、フィン、マチ あたりか? ピカにセンリツは寄り添ってくれているのだろうか?今のピカならば、センリツに心を読むことをやめさせることも命令できるし、小竜を前に出すことで、読ませない術も身につけてしまった。本音を語らないピカに、どこまで付いて行けるだろうか?そこに安息の時間は有るのか?有るのは何時、誰が裏切るかも知れないという不安だけではないのか?心は壊れていないのか?どうなんだ?







「さて、14日目だ。  そろそろ時間切れだ」

どこでどう、命を繋いでいたのか?リッポ−がおれの目の前でニヤリと笑う。

「キミタチのキズナがどれほどのものか知らないが、仕事はキッチリやってもらう」

 (キミタチ?!)

「キミに、直ちに、旅団のリ−ダ−の抹殺に出向いてもらう」

(!!!)

「おやっ?  顔色が良くないねっ?」








「いや。上等だ。その依頼、誰が報酬を払う?それから・・・・いくらだ?」

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