短編   Feint

□Feint 呟き
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『メ−ルが届きました』

クラピカからだ。

「 Aglsiq・・・・・U nuaa tiy. 」

暗号化されていて、すぐには解読できなかった。折を見て、バショウと話しをすることにするわ。急ぎじゃなければいいけれど。





『メ−ルだぜっ』

クラピカからだ。

「 Vkdgrz・・・・・L plvv brx. 」

暗号化されていて、すぐには解読できなかった。折を見て、センリツと喋ることにする。
緊急じゃないよなぁ?


















まず、文字数が同じってことに着目。これって同じ文章が書かれているわけよ。キット。
なかなか、女の勘は鋭い。







俺たちの解る次元の問題か?とうとう、クラピカは壊れてしまった・・そう、考えた方が正しいのかも知れない。いつも、俺たちの二歩も三歩も先を行く・・。今回はお手上げか?二歩、三歩?

「おい、センリツ・・。これって・・。アルファベットの並び?」・・を三歩元に戻る。言いかけて、そのまま考え進む。めんどくせぇ・・しかたなく、紙に書く。
「シャドウとクラピカって並んだ時、どっちがどっちだったかしら?」
「はぁ?」
「人って、気のあう人同士だと、立ち位置が決まるのよ」
「そりゃぁ〜(死角を守る為に)シャドウが右だが?」
「じゃあ、クラピカはいつも、シャドウの左に?」
・・・・全く、女の考えることは解らない。センリツもそのまま黙り込んだ。  

 



「Shadow・・・・・I miss you. 」
「Shadow・・・・・I miss you. 」






    なぞなぞが解けた瞬間 !

大変だ。クラピカが師匠を探して彷徨っているのだ。

師匠に頼る・・・それは、もう、ギリギリなんだ。だが、呼ぶことさえも出来ない・・。
それで、暗号にして俺たちにメ−ルを寄越したのだ。



 灰皿の中で燃えるメモ紙が、まるで、苦しむクラピカに見えた。







「センリツ・・あのなぁ・・架空の動物とか、居るって信じるほうか?」



バショウが、なにやらシブシブ語りだす。


「ええ。まあ。魔獣や念獣、それに、キルア君、ゴン君やネテロ会長も蟻退治に東に行かれていたぐらいですもの。もしかして、蟻がどうかしたのかしら?」

「いや。蟻じゃないんだが・・もっと・・そうだな、クラピカよりも少し大きいぐらいの・・」

「ねえ、バショウ。その子ってもしかして、クラピカの中に居る子のこと?あなた、それを見たの?教えて。どんな子?」

「おおっ!・・・そうか。心音だな?」

「優しい子なんでしょう?」

「そうだな。クラピカの幼馴染み・・つったらいいかも知れない・・ホントのところはオレもわからんのだがな」

「この暗号。クラピカは、キット、その子に教えたいのよ。そうだわ」



・・・言いながら、考えた。しかし、クラピカが休んでいる時が出番だとすれば、なかなか、話をするチャンスは少ない気がする。今は、クロロとシャルが、とにかく、クラピカにいつもベッタリなのだから・・・。

「いや、案外、素直にそのまま言った方がクロロには伝わるかもな?」

「クロロは、その子の存在を知っているの?」

「知ってるも何も・・・クロロは、そいつに助けられたんだ。でなきゃ・・水没、今頃・・」  ここで、バショウは恐ろしい石棺の怨念を思い出し、言葉が途切れる。

「わかったわ。クロロが、私に声を掛けた時、提案してみるわね?」

「うまく、頼む」

 まただ。バショウのこの心音。

「バショウ?」

「・・?」

「クラピカは、クロロには心を開かないわ。今はレオリオとは別れているのよ。そして、シャドウとも・・。バショウ、あなたがクラピカをささえる出番だと思うの。・・・しっかりね」


 ほんの少し、心音が弾んだ。

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