2nd season 「Time」 

□抱きしめる
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抱きしめる Curarpikt-(小竜)side







はじめは これは手違いだ
ネテロ派と反ネテロ派
争いの漁夫の利かと思っていた
                       (およびください せめてこころちかくに)


頭が冷えてくると
貴様の立場で考えられるようになった
あの伝言の真意も
                        (つきさすようなしんごうが とだえた)


本当はこうだ
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私と会長のどちらも生かしたのだと
                       (小竜にさえ?・・・・このままではいけない)


さらに クロロの念の特性をも知っていたのか?
ゼロから除念師を探すよりも遥かに近道
殺さず飼うことも
                       (ワカさまがこころを とじた)


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地獄の底に 一本の蜘蛛の糸が下ろされ
それにすがりついた
                       (もうなくことさえ ゆるされない)


体力を回復させ静かに迎えを待つ
心に鍵をかけ
私は人形に化ける


































「私は、どんな状態になるのか、わかるか?」
宿敵に身をゆだねるとは、どんな気分だ?しかも、念を掛けたヤツのキ−ワ−ドを俺が言ってしまったらしい。ぐずぐずしている間にクラピカの身体はその念によって蝕まれていく・・。それが解っているからこその、その眼なのだな?
「部屋の空調を止めるぞ。少し息苦しく感じるかも知れないが我慢しろ。無理に意識を保とうとするな。その、操作、いつからだ?」
ビクッと身体が固まった。どんな念だ?
「・・約、半年」
「そんなにか!」
「難しいのか?」
クルリと目があう。お前ほどの男が? と、語尾に付いていたように感じる。思わず、その言葉を掬い取ってしまった。
「やってみなければ解らないが、飛行船には必ず乗せてやる。目的地に着いたらホテルにでも滞在すればいいだろう。殺しはしないから安心しろ」
「もうひとつ、いいか?」疑問形な口ぶりとは全く違う眼をする。まるで、俺が望むなら、今ここで決着をつけてやる!とでも言いたげな、挑むような眼だ。
「何だ?」
「お前の仲間の念も掛かっているはずだ。それも出来ればお願いしたい」
ウボ−とパクのことか。
「出来ればな」

 おれはいつの間にか、クラピカのペ−スに巻き込まれていた。不思議だ。敵の目の前で、具合が悪いくせに、どこまでも高飛車。というか・・高貴。いったい、何様のつもりだ?



除念。



アベンカネの能力を盗賊の極意から呼び出す。

 思ったよりも厄介だった。

 能力者の中には、道ですれ違いざまに一瞥するだけで、軽く、嫉みの念を掛けられる者も居る。また、何かのキ−ワ−ドや、狭い密室などの場面の設定でスイッチが入るタイプもある。まじないや催眠術もその類だろう。何だ?これは?ひとつひとつ外していくより他は無い。あとから掛けられた念が外側に、まるでロシアのマトリュ−シカの人形の様になっていた。


 「お前らの念。クラピカの身体より解除する」


密室で7つの念獣がさまよっている。さながら地獄絵の様だ。実は、どうしても外せない念がそこにあった。どこまでがクラピカオリジナルで、どこからがその念なのか、俺には判断がつかなかった。時間も無かった。





 インドアフィッシュに邪念を食べさせながら、頭から、その念が離れない。しかも、クラピカ本体・・これが、半身だけ何かに削がれたような形をしていた。別に、本人は、手足もしっかりついているし、五体満足なのだが・・。クラピカの絶の正体は、この削がれた半身のようにも思えた。

 クラピカ本体をかばいつつ、念獣だけを食べさせる。久しぶりに本から出たインドアフィッシュは、嬉しそうに泳ぎながらすべてを食べ終えた。
 俺は、本を閉じた。






 ほう・・と息をつき、クラピカは眠りに落ちた。倒れたと言った方が正しいのか。

  ようやく手に入れた Scarlet eyeball-doll  俺の所有物。
まさか、自分で揶揄するとはな。緋の眼の人形。
コイツの心を俺に向けたい。



 人間とは思えないほどの低体温。冷えたのか?
部屋の空調をONにする。

 意識の無い人形を、俺はそっと抱きしめた。

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