短編   色硝子

□番外編
1ページ/1ページ

「ねぇ、コル? シャルはどうして落ち込んでるの?」
シズクが訊いた。返事は無かった。
 
 今、ミカエルと団長がおよそ20mほど距離をあけて、お互い向かいあって対峙している。どちらかがちょっとでも動けば、一触即発の危ない空気だ。
 クルタの里に向かう前に、何かあったらしい。団員同士のマジ切れは、御法度だが、ミカエルが団員に成ったかどうかも分らないから、止めようがない。そもそも、団長と団員ならばマジ切れOKだったような気もしてきた。 突然アジトに帰ってきたと思ったら、いきなりこの状態になった。訳がわからない。

 さらに、シズクを不思議がらせたのは、マチの態度だった。それまでミカエルと呼んで、可愛がっていたくせに、かなりクラピカを恐れている。しかも、こちらも喋りもしない。少し感じるのは、マチへの連絡が遅れたシャルに対して、ムッとしているってことぐらいだ。
 シャルはシャルで、初めて見る戦闘態勢のミカエルに、何か感じたらしい。シャルの頭の中を見てみたいナ!と、思った。






 (すごい!)
シャルは思った。あのマチが、真っ青で一言、
「シャル、気をつけな」と耳打ちした。マチは見たんだ。ウボ−を倒した鎖と、オ−ラを。

 今、団長とクラピカの間で、ものすごい頭脳戦が繰り広げられているのだ。 何にお互い怒っているのかは謎。まず、団長が負けるような事にはならないだろうが、一歩も退かず、挑むクラピカに見惚れた。20mこれ以上近づけば、相手の間合いってことは、ノブナガは鎖野郎より格下決定だね。さらに、その先を考えた。場所だ。一戦交えるなら、どっかの山奥ですればいい。なぜ?わざわざアジトで?・・見せる為?・・誰に?シズクとコルトピじゃない。レアタイプの二人は既にそこが解っていているから、能天気なんだ。誰に?オレにかっ!
 この場合、旅団の中での自分の立ち位置が、実際、クラピカと被ることに気が付いた。 どうして今まで気が付かなかったんだろう。鎖野郎と自分では、どちらが強いか?なんて、初歩的な事を。一瞬、思った。 俺って、お払い箱かも?まてよ、何の為の増員?団長が言いたいのはもっと先だとすれば・・弱点?基本、具現化のはずだろ、でもウボ−を倒した・・占い・・地に伏した・・メモリの使いすぎっ!ふぅん物凄く強い力も出せるが、弱い時もあるってことか?オレの立ち位置、鎖野郎が弱い時の保護?へぇ・・念タイプの六角形を思い出す。団長の特質を頂点とすれば、操作のオレと具現化のクラピカで飛車角ダブルの参謀かぁ・・。こりゃぁ〜頑張らないと。

「団長!もう、解った。今日は、その辺にしようよ」

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ