「緑川、ひとくちちょうだい」


抹茶味のシロップをかけたかき氷をひとくち、またひとくち、と味わうこの赤毛の少年は基山ヒロト。すこし汗ばんでいるが、整った顔立ちの中学生だ。
一方、基山と共に苺味のかき氷を食べている少年は、緑川リュウジ。名前の通り髪の毛は黄緑である。


「でも、かき氷ちゃんと食ってるじゃん」

口元が舌にまで届くようにショッキングピンクになった緑川は自分のかき氷を食べるように勧める。

「でも、自分色のかき氷食べるなんて楽しそうじゃない」
「……趣味わる」


緑川は基山のことばから、基山は自分を、自分は基山を食べている感覚に囚われたようで、顔を歪めた。

「だから、ほら……ちょうだい、緑川」


そのエメラルドのような眸は瞼に遮られ、紅でも塗っているように赤い唇が、緑川からのかき氷をねだっている。

その赤い唇に、苺のシロップで赤くなった唇を押し付けた緑川だった。





苺と抹茶


(苺の味がするよ、緑川)
(オレにはヒロトの味がした)



20100806

Happy Birthday
神埼潤さま


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