daily of prince

□I was constrained to tell a lie
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ほんのたまに。
疎外感を感じる。部活やってる時はそんなことは全く思わない。でも休みだと余計感じるんだ。

先輩達は3年生で、オレは2年の後輩。

ちょっと嫌な壁だな。
…ゲーセン行こう、ゲーセン。気分転換しなきゃ休みがもったいない。もう夕方だけどさ。


ゲーセンに来たものの…。何をしよう。いつもは先輩たちと来るもんなぁ…。家で遊んでた方がよかったかも。
あー、オレってバカ!単に時間を無駄にしただけじゃねぇか!余計に気分沈んだ…。適当に店見て、うろついて帰ろ…。


「あっかやじゃーん!なーにしてんのっ?」
「せ、先輩達…」

ファーストフードが並ぶ道を歩いていたら、今一番会いたくない人達(つまりレギュラーみんな)にばったり会ってしまった。ついてない日ってとことんついてないなぁ…。

「なんじゃ、歯切れが悪い」
「そんな事ないですよぉ〜。皆さん揃って何してたんすかぁ?」
「大抵語尾を伸ばすときは隠し事をしているときだ」

柳先輩って…怖い!そうか、オレは語尾を伸ばすのが癖なのか…。気を付けよう。まぁ隠し事というより悩み事だけど。

「隠し事なんてありませんよ!」
「まぁいいじゃない、柳。オレ達は、学年最後の思い出作りとしてパーティーが開かれるんだけどね、それの服とか見て、ついでにお茶にしてたんだ」

ほらね、2年のオレは、当たり前だけど、こういうものに誘われない。しょうがないっていうのは分かるんだけどさ…。
学校では、ほとんど一緒っていうのが過言ではないくらい、同じ時を過ごしてるから余計仲間外れな気になる。まあきっとそう思ってるのはオレだけなんだろうけど。

「よかったっすね。楽しかったすか?」
「まぁな〜って何よそよそしい態度取ってるんだよぃ!」
「気のせいっすよぉ〜」
「さては、オレらと一緒に買い物したかったのか?」
「いやまさか!それに今金無いんで誘われても行きませんよ」

已むなく嘘をついた。だって冗談で言われたんだから。ここで行きたかったとか言ったら、引かれるっていうか、困らせるというか、反応を見るのが怖いから。これは自分を守る嘘。

「そーか、そーか、そんなにオレらと行きたかったんか」
「は?なんでそうなるんすか?」
「気付いてないかもしれませんが、いつもあなたはバカがつく程素直なんですよ」
「だから嘘つくときは作り笑いってのがバレバレなんだ」
「つまり嘘をつくのが下手ということだ」
「先輩っ子の後輩もいいものだな」
「ふふっ、可愛い後輩だよね、ほんと」

…かなーり恥ずかしいんですが。
え、なに、そんなにバレバレ!?うそ。真田副部長と丸井先輩、ジャッカル先輩ぐらいは誤魔化せると思ってたけど、え、全員にばれてんの!?

「だぁーから言ったろぃ?赤也も誘ったほうがいいって」
「でも今日いきなり集まることになったんだ。赤也にだって用事あるだろ。現に買い物してたみたいだしよ」
「んーまぁそうだな…」
「精市も少しは周りのことを考えてほしいものだ」
「考えてのことだろ?読書とか勉強とかそんなの休みの日じゃなくても出来るじゃないか。少しは感謝してよね」
「つーわけで、悪かったな」
「いや、いいっすけど…、メールで来たんすか?」
「ん?あぁそーだぜぃ、見るか?」

丸井先輩から携帯を受け取り(何気に最新型。いいな)メールを読んでみる。


****/**/** 11:19
From 幸村精市
To 真田弦一郎
To ジャッカル
To 仁王雅治
To 柳生 比呂士
To 柳蓮二
件名 無題

買い物行くよ
早くしてね
―END―


何このお母さんが子供に、買い物に行くから早く準備して的ノリは。場所どことか全く書いてないし。これで意味通じてる先輩たちってすごくない?なんか、誘われなくてかえってよかったかも…。これ、怖いよ。
先輩がひょいと携帯を取り、クリアボタンを押しながらぱちんと閉じた。

「あー、すごいっすね…なんか」
「ジャッカルが遅れてきて大変だったんだぜぃ?ま、おかげで奢ってもらえたけどな!」

あれ、なぜだろう。今丸井先輩が悪魔っぽく見えた。
柳先輩、ジャッカル先輩の肩にぽんって手を置いてるし。様子から察するに、奢ってもらったのは、どうやら、部長と仁王先輩、丸井先輩だけみたいだ。

「そうじゃのぅ、まさかジャッカルが遅れてきて奢ってもらえるとは思ってもいなかったのぅ」

……計算ですか…?いや、まさか、ね。でもにやりと笑ってる仁王先輩を見ると…。

「そうだ、お詫びも兼ねてそのノリで奢ってあげるよ、ジャッカルが」
「えぇ!?でも幸村…」
「いいっすよ、先輩。気持ちだけ受け取っておきます」

部長は、ちぇ、つまんないなぁとか言ってたけど、うん聞こえなかったフリをしよう。他人の不幸で遊ぶのってよくないし。オレいい子!

「ならば赤也、勉強を教えてやろう」
「そうだな。たまにはお前の勉学に付き合ってもいいぞ」
「え、休みの日にですか!?勘弁してくださいよ!」
「そうだよ。何度も言ってるだろ?そんなのは休みの日じゃなくても出来るじゃないか」

…とりあえず部長は遊びたいんですね。一番子供っぽいかもしれない。オレも勉強より遊びたいけどね!
でも…何して遊ぶんだ?

「みんな所持金いくら?」

恐喝!なにを始めるんすか…。先輩方は服を買う予定だったから結構な金額を持ってるし。…ジャッカル先輩は普通だけど。

「赤也は?」
「…4000円っす」
「うーん…まいっか!今から電車乗るよ!」
「どこに行くんだよ?遊ぶのってここらじゃないの?」
「こんなところに遊ぶ場所なんてないよ。ランド行くよ!ランド!それともシーがいい?」

え、今から?このメンツで?オレそこまで金ないよ?よくないっすよ。さすがに先輩方も驚いてる。

「だって今日は気分もいいし!みんないるし!いいじゃないか!」
「あの、部長…。夕方のパスからといえ、どう考えてもオレ、金足りないんすけど…」
「ん?そんなの気にしてたの?いいよ、赤也の分はオレが出すから」

…………。



!!!!!!!!!!????

この人自分が楽しむためならいくらでも金を出すタイプだ!!さすが神と言われるほどの…。

じゃなくて!

「いやあの部長!いいっすよ!そんな大金…!(というか部長に借金なんていやだ…!)」
「そう?じゃあみんなで赤也の分を割勘!」
「はぁー!?勘弁してくれよ、幸村くん!」

被害拡大させてしまった…。無言の先輩たち怖いです…。もう黙ってます…。

「なに、丸井は可愛い後輩のために1000円も出せないわけ?」
「そういうわけじゃあないけどよ、1000円は高いぜぃ」
「行きたい奴だけ行けばいいんじゃなか?」
「全く、普段から堅苦しい奴らといると、こうも堅くなるわけ?聞くけどさ、オレ達は何のために買い物に来たか分かってる?」

様子を見ると今の部長の言葉でみんな分かったみたい。オレはよく分からないけど。原因はオレのわけだけどさ…今すぐここから逃げたい…。

「そう、オレ達はもう少しで卒業なわけだし、いくら付属と言ったってこのメンバーで買い物とか出掛けるとかもうないかもしれないんだ。違う高校に行く可能性だってあるしね。現にこの買い物の話だって3回ぐらいお流しになってるんだから」

ふぅっとため息をついていた。3回お流しになってるわりに、あのメールだけで集まれるんなら、最初からそれを使えばよかったんじゃあ…。
でもそうか、先輩は卒業かぁ…。考えたくなかったな。

「特に赤也なんて学年が違うんだからどうなるか分からない。だからさ、テニス以外での思い出を作っておきたいわけ。テニスでしか思い出を持っていないからね」

なんか、部長がそんなことを考えているとは意外だったかも。確かにプライベートでみんなで遊んだことはあまりないかも。
多分、今みんなも同じ事を思っていると思う。

「それにさ、いつまでもここに立ってても邪魔だろ?」

……確かに。

「じゃあ話がまとまったことだし、行こっか!」

みんな微笑みを浮かべて部長のあとに着いていった。
突然とんでもないことを言いだす部長だけど、やっぱり尊敬できる部長だなぁって思う。メリハリがしっかりしているというのかな。
部長が幸村部長でよかった。

というよりも、オレの先輩が先輩たちでよかった!


最初は鬱な1日だと思っていたけど、何よりも思い出がたくさん詰まった1日になったよ。


end


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