daily of prince

□harmonionsly
1ページ/1ページ


いよいよこの日が来た!この日のためにどれだけお金を貯めたことか。時にはオジイにオレオレ詐欺を…ごほごほ…ではなくてお小遣いをもらったり、いっちゃんのお家のお手伝いをしたり、取り敢えず頑張ったんだ、オレ!僕から僕へのプレゼント!ありがとう僕!…ってディズニーのラマの気持ちがよく分かるよ!

「というワケで行ってくるよ!」
「行くって…どこなのね?」
「東京さっ!」
「何しにいくんすか?」
「服を買いに行くのさっ!」
「服を買いに…東京!?おいおいサエ、服ぐらいどこでも買えるだろ?」
「こんな田舎にいい服なんて売ってないだろ?どっかの地方の人には千葉は都会って見られがちだけど、栄えてるのなんて結構は浦安だけなんだから…」
「うーん僕は何も思ったことがないなぁ」
「まぁ淳に会ったらよろしくね」
「ああ!行ってくるよーっ!」
「…あんなに爽やかなサエさん、僕始めて見たよ」
「爽やかじゃなくて、輝いてるっつー方が合ってるな」

駅に行くまではバスで移動。もううっきうき!早く着かないかなっ。その後電車に乗って降りれば東京!この時ほどわくわくすることはないよ!楽しみ過ぎてキャラがもう分からないよ!最初どこの店から回るかとか考えるけど決まらないなぁ。時間はそんなにないから、次々と見て回らないと。ふっふふっ…楽しみだーっ!!そういえばバネさんが言ってたんだが、こんな時は…

割愛

その時ダビデが…お!東京に着いたーっ!駅付近は帰りに通るから、遠いところから見ていこう。人混みは嫌だけど、我慢しよう。うん、買い物を楽しむべき!




「合計9724円です」

さらば諭吉。でも欲しいものを買えてとても満足しております。もう目的を果たしたも同然!お金もまだあるし、るんるん!
ん?金髪でお洒落で耳にイヤホンをしているアイツは…。

「キミ平古場くんだっけ?」
「………」

ちくしょう、音楽聞いてて聞こえてないな。恥ずかしいじゃないか。ノイズキャンセラーをオフにしなきゃダメだろ!

「やっほ」
「うわぁっ!」

肩をとんっ。ではなくて、イヤホンを引っ込抜いてひょこっと視界に入るよう挨拶したら驚かれた。誰でもびっくりするよね、これ。

「たーよっ!…ってあれ、裕次郎に負けた…えーっと…伊礼だっけ?」
「いやそれ親戚。佐伯だよ」

というかなんで平古場くんが親戚を知ってるんだよ。…オレも平古場くんの親戚知ってるけど。
しぶしぶともう片方のイヤホンを外して、音楽を止めた。聴いてた音楽は…SHAKE IT UP。洋楽かな?

「あー佐伯。こんなとぅくるで奇遇さね。ぬーしてんの?」
「キミと同じで服を買いに来たんだ。わざわざ沖縄から?しかも一人?」
「あぬひゃーら服の為だけに東京なんか行けないって、一人旅させられたさぁ。ま、日帰りだと安いし!」
「…沖縄は自立心が強い県でよかったね。オレも同じような感じなんだ。よかったら一緒に回らないかい?」
「やーとぉ?」
「だって趣味合うしさ!それにオレは自由なのはちょっと苦手でね」
「わんは自由がいい」
「よし、そうしよう!んで、オレ沖縄語よく分からないから標準語でお願いね。ここ東京だし」
(うっわ、自己中!この野郎…)

やったね。東京には来慣れてるけど、やっぱり一人だと寂しいからね。あ、平古場くんって自由が好きなんだっけ?束縛される事が嫌いだから、そうだよね。うーん、理解できないなぁ。

「ここの店見たいな」
「わんは隣見てる」

…あれ、そうなるの?一緒に回る意味がないじゃないか。ここは言い出しっぺのオレが大人になって、そっちに付き合ってあげるか。

「…ぬーでやーはついてくんの。じゅんにかしまさん」
「うん?」
「……なんでついてくるの?」
「いや、その後が分からなかったんだが…。まあいいや。だって一緒に回るっていったじゃないか」
「やだ」
「いいじゃないか、たまには男2人旅!…ここはアクセサリーショップ?」

どうやらシルバーのを売っているのか。うん、高いな。平古場くんって本当に金持ちだよね。1人で東京に来ちゃうんだもん(飛行機でね)。お小遣いいくら貰ってるんだろう?そこまでの仲ではないから聞かないけど。

「なんか買うのか?高いけど」
「裕次郎からお金預かってきてんさ。なんか、裕次郎の親戚がデザインした指輪だのネックレスが欲しいって」
「(沖縄の人はみんな金持ちだなぁ。それとも店がそこまでない…?)そう言えば不二もここでネックレス買ったとか言ってたなぁ」

平古場くんは特にコメントする様子はなく、お店の人にすみませーんとか言って買ってるし。オレを空気的存在にするのやめてほしいなぁ。なんか、嫌われてる?気のせいか!(知らない人の話題を振られたら誰でも困るのね byいっちゃん)

「…わんこれからお昼食べるけど…お前も付いてくるんだろ?」
「一緒に食べるよ。どこで食べる?」
「…。そこらへんのレストランかスタバ」

いやいや平古場くん。どちらもお値段お高いところですよ?ファーストフードじゃダメなの?さすがに抗議をしよう。

「もうちょっと安いところに…」
「お前が勝手に付いてくんだ。イヤだったら1人でどっか行きな」

ごもっともだけど…我儘な王子様だな。オレは君みたいに金持ちじゃないんだから。でもたまにはいっか。六角のメンバーとならまずファーストフードとかにも行かないしな(だってお金無いし、みんなで作った方がおいしいじゃん! by葵)。

結構イタリアンレストランに行くことに。平古場くんは会話という会話をしてこず、オレが話を振らないと話さない。これって一番困るパターンだよねー。肯定文で答えられるとさらに困る。こっちも考えて話を考えてるんだからさ、無神経なことはやめてほしいよ。和気藹々にいこうよ。

「気になってたんだけど、その袋って親戚たちご愛用のブランド?」
「あい?そうだよ」

よく見ればそれの他、ブランドの袋が5こぐらいある。何着ぐらい入ってるんだろう。アクセサリーや靴もありそう。まだまだ袋は増えるんだろうな。羨ましいよ。

「オレもそこ好きだけど、そこって結構高くない?」
「高いけどデザインが好きだし。でもセールで買えたから安く済んだよ」
「ホント?いくらぐらいだい?」
「18980円だな」
「いちっ…!」

オレも洋服にお金を使うけど…1着約2万もする服はさすがに買わないな。元値はもっと高いんだろうけど。それを安いという平古場くん。跡部の次に金持ちかも。

「なぁ気になってたんだけど…よくそこまでお金あるね」
「ないけど…小遣いやお年玉、祝い金を貯めるに貯めて、おばあちゃんからたまぁーに小遣いもらったりして貯めてるんさぁ。ねーちゃんからは年金泥棒って言われるけどね。あと知り合いのところを手伝ったりしてお駄賃もらったり」

なるほど。沖縄って親戚多からそれなりにお金が入りやすいのか。でもほとんどオレと一緒か。おばあちゃんじゃなくてオジイだけどさ。騙してはいないぞ!
あ、パスタきた。うん、美味しそう!

「オレもお小遣い貯めてこれがやっとだよ」
「わんもそこのブランド好きさぁ。値段が手頃でデザインもいいし。ふぅん、確かにあんたとは趣味合うかもねー」

ちょっと、なんで嫌そうに言うのかな。普通だったら喜ぶところだよね。オレは嬉しいよ。いつものメンバーじゃあ分かってくれる人がいないからね。というか平古場くん、もうちょっと美味しそうに食べようよ。…オレがいるからそうなんだろうけど。

「食べ終わったらさ、MASA見ようよ。好き?」
「…………………好き」

何今の間。まるでオレと好きなブランドが同じで嫌みたいじゃん。しかも追加でアイス注文してるし。そんな一緒に行くの嫌なのかな。…嫌われてる?(あれ、デジャヴ?)

「…わかったよ、お前に付き合ってやるよ」

立 場 逆 !
付き合ってあげてるから、付き合ってもらっちゃってるよ!どういう解釈で?まいっか。

「じゃあ仲良くしてねー!」

…ケーキ追加しやがった。でもまあこうして、仲良く買い物をすることが出来ました。
帰る前までは。


「……お前のせいだ」
「え、オレ?」
「わん帰る時間何度も言った」

うん、言ってた。それを承知であちこち連れ回してたんだけど、トラブル発生。

「あ」
「今度はぬーよ!」
「オレもたった今やらかした」
「…………」

そう、平古場くんの飛行機の時間とオレの終電を逃したのだ。飛行機の方は気付いて事前キャンセルしたから他のお客さんには迷惑かけてなはないよ。(キャンセル料等で平古場くんはキレて周りには迷惑かけたけど)

「……どうすんの。お前はともかく、わん帰れない。ホテルはやだし」
「…いやオレも帰れないから」
『……………』




「いらっしゃい」
「二人厄介になりますー」

最終手段。
不二家にこんばんは。一応平古場くんと不二、面識あるし。東京で仲良しなんて彼以外いない。

「ほら、平古場くんも」
「……世話になるさぁ」
「くすっ、災難だったね。今日は裕太も帰ってきてるからにぎやかになるよ」

おっと、家族水入らずの日に見事にお邪魔しちゃったよ。ていうか平古場くん、視線がかなり痛いです。

平古場くんは家に上がっても必要最低限な言葉しか言わなかった。不二に対しては適当な相槌は打っていたけど、オレのに対しては完全にシカト。まったく、心が狭いんだから。

そんな日でもオレは好きなものをたくさん買えたから、全く気にしてないけどね!


後日談として、平古場くんは、不二が跡部に頼んで飛行機を出してもらって(なんて言ったかは知らないけど)、無事沖縄に帰ったんだ。
オレも千葉に帰って、浮かれすぎだって、バネさんと亮に小突かれた。
すごく楽しく買い物出来たから、無理矢理聞いた平古場くんのアドレスに“また一緒に買い物しようね”ってメールをしたら、見事にシカトされた!どんな顔をしたのか想像できるよ。

だけど、そう遠くない日にまた東京で逢って一緒に買い物をするのは、それまた別のお話。


End


――――――――
最初から最後まで分かる人しか分からないネタオンパレードでした。





.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ