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Epilogue
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“もう 逢うのやめよう”


深呼吸をしてから
そんな事を告げられた。
それは、つまり、別れ話――?
両想いで付き合って
毎日が幸せで
オレは君の事が好きなのに
別れなければいけないの?


ただ答えを探して
そっと目を閉じてみる


思い出すのは君の笑顔。
いつも幸せそうに笑っていた。

―ずっと大好き!
絶対離れないからね―


そう言った君はもう遠い昔。
いつから
気持ちが離れていったの?

目を開ければ
今にも泣きだしそうな君。
もうオレは
君を笑顔にさせる事さえも
出来ないのかもしれない。
それなら――

“……わかった
じゃあ別れよう
幸せになれよ”


幼すぎた僕の言葉と 君の涙


涙はとても綺麗すぎて
だけど君には泣き顔なんて
似合わなくて。
すぐにでも
涙を拭ってあげたいけれど
今のオレには
もうその資格すら持っていない。

―もし私が泣いたら慰めてね。
私も慰めるから―


優しすぎたその声が
忘れられずにいるよ


もう一度名前を呼んでよ。
他の人のところになんて
行かないで。
君の事が本当に好きなんだ。
でもそんな格好悪い事言えない。
そんな事言ったら君は困るよね。


素直にいられず 言えずじまいな
「そばにいて」


言えたらどんなに楽なんだろう。
もしかしたら心が揺らいで
そばにいてくれるかもしれない。
そんな淡い想いも
泣いている君を見れば
有り得ないというのが
伝わってくる。


きっと今は違う誰か
愛しているのかな?


だから別れようって言うんだろ?
オレの事よりそいつの方が
大切って
思えるようになったんだろ?
いくらオレが君の事を好きでも
…ダメなんだね。


僕の中に残った 冷たい空気


君を失いたくない。
それはもう無理な話で
寂しさと哀しさと切なさが
込み上げてくる。
今は泣かないように我慢して


ただただ… 立ち尽くして…


泣いている君しか
見ていることが出来なくて。
泣き顔じゃなくて
笑顔がみたいのに。
あの頃みたいに笑ってほしい。
だけど…


今はもう…… 戻れない



君が落ち着いて
立ち去ろうとした。
君の幸せのためと思っても
やっぱり
納得できなくて


ただその手を握って
声にならない声で


いかないで。
離れないって言ったでしょ?
情けないけど
君が居ないとオレはダメなんだ。
でも気付かなければよかった。


引き止めた瞬間に感じた
君の気持ち


あぁ…
もう君の心には
オレは居ないんだ。
恋人の好きではなくて
友達としての好きになったんだ。
後悔しないように伝えることを
伝えよう。

“ごめん ありがとう”


使い古された台詞
今さらつぶやいても


もう何も変わらないっていうのは
わかってる。
でも最後にこれだけ言わせて?
けじめの言葉。
恋人としての最後の言葉。
君に届くかどうかは
わからないけど。


夜の空に虚しく消えていく
「愛してた」


少し君は驚いていたけど
小さく頷いた。
握っていた手を遠慮がちに
ほどいた。
繋がりが無くなった。
行ってしまうんだね。


そして君は歩き出し
温もりが薄れてく


本当に別れるんだ。
曖昧だったものが
急に現実味帯びた。
これから君の横はオレじゃなくて
違う誰かが居るんだね。
もう君の横を一緒に歩くことは
出来ないんだ。
君は振り返る事なく


嫌いになったわけじゃない
そう言い残して


歩いていく。
その背中が小さくて
見つめている事しか出来なくて


ただただ… 何もできず…


泣いても意味がないって
君が戻ってくる事はないって
わかっていても


ただただ… ただただ…


とめどなく溢れる涙を
どうすることも出来ず
止まると云う事を
知らないよう
涙は止まる事はことはなかった。


   これが
     オレと君の
           Epilogue



Even now I can't believe her.
I really do like you. Honest.







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