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語ります
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よし、今日は毒草について話すで。日本三大有毒植物の一つ、トリカブトについてや。名前はカブトムシっぽい、あ、ガブリエルちゃうで。残りの二つはドクウズキとドクゼリや。強力な毒草なんやで。山地から高山にかけて、タンナトリカブト、ヤマトリカブト、キタダケトリカブトとか…って財前!どこいくんや?トイレ?しゃーないな、早よ行ってこい。あぁ、種類やな。トリカブト類が約30種類あるて言われてるんや。ヨーロッパだとトリカブトは魔術の女神ヘカテを司る花とされて、庭に埋めてはいけないって言われてんねん。ギリシャ神話だと、ケロベロスのよだれから生まれたとも言われやで。全体に毒があって生で摂取するだけで効果バツグンなんや。エクスタシーやな。少量摂取だけで嘔吐、呼吸困難、臓器不全などによって数十秒で死ぬんや。完全に摂取した場合の治療法は今現在はないんや。うっかり摂取したらもうアウトや。気ぃつけんやで。金ちゃん、ちゃんと聞いとるんか?よし、ええ子やな。将来的には見つかればええよな。取り敢えず知らないもんには迂闊に触んなっちゅー話や。あれ、千歳は?野良猫に餌?なん、オレの話し聞かんとか何様や。まぁええわ。こん次がエクスタシーな話やで。修治っちゅー専門かつ高度な弱毒処理を行うことで、強心作用、鎮痛作用ある漢方薬になるんや。な、めっちゃエクスタシーや。毒にも薬にもなるなんて魅力的やんな。トリカブトの毒性に詳しく触れると、ってなんやユウジでっかいため息吐きおって。今からいいとこやん。小春はちゃんと聞いてるんやで。見習えや。ええと、そう毒性や。毒成分はジテルペン系アルカロイドのアコニチンで、他にメサコニチン、アコニチン、ヒバコニチン、低毒成分のアチシンの他ソンゴリンなどを、全草に…というより特に根に含むんや。収集時期と地域によって毒の強さが異なるんや。芽吹きの頃はセリ、ニリンソウ、ヨモギとかと似てるから誤食による中毒事故がほんまあるから気ぃつけなきゃあかんで。特に金ちゃん、なんでもかんでも口に入れたらあかんからな。修治についてやけど、んー、どっから言うのがええんやろな。ところで謙也、貧乏揺すりやめてくれへん?うざったいわ。オートクレーブ法っちゅーのを使うんやけど、まあ分かりやすく言えば加熱処理や。温度と時間が大切で、それを調節することで…、あ、お帰り財前。なんなんその嫌そうな顔は。は?千歳探してくる?…勝手に行きおって…。探すのは一人でええ。みんなで行く必要ないやん。めっちゃ時間の無駄や。続きや。温度と時間を調節することで、メサコニチンなどの残存量を調節することが出来るんやで。この処理はアコニチンやメサコニチンのC-8位のアセチル基を加水分解する目的で行われて、それにってアコニチンはベンゾイルアコニンに、メサコニチンはベンゾイルメサコニンになって、毒性は千分の一程度に減毒されるん。専門的な薬学的知識が必要で非常に毒性が強いから、素人は手ぇ出すもんやないで。これが大体のトリカブトについてや。質問は?ないな。よしじゃあ次はタンナトリカブトについて…ってなん、自分ら!話はまだ終わってへんよ。まだ休憩時間やん。ちょ、待ってや!

ある日の部活休憩時間の部室内で、急遽毒草講座が開かれていました。




顔がイケメンでも残念な人は沢山います


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