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伝える:立海
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困った。いや、いつも素直に言っているつもりだ、良くも悪くも。しかし面と向かって言うのはかなりの抵抗がある。

「だからさ、いつもみたいに普通に言えばいんだって。老け魔!とか。デブン太!とか」
「いやいやそんな事思ってないっすよ!本当にそう思ってても絶対言わないってか」
「…も言ってんじゃん」
「おつむ弱いのぅ」

嘘を付けない性格なんだ、と自分に言い聞かせる。
なんでも幸村が、後輩から見た自分達というのを知りたい、とのことで、代表して切原が言う羽目になったのだ。

「ほら早く。ジャッカルから」
「オレからかよ。まあ心の準備は出来てるからいいぜ」

いやオレが出来てないから。
もうどうにでもなれ。

「その、めっちゃいい人です。そんで貧乏くじよく引きますよね」
「そうか…」
「普通だなぁ。じゃ次。丸井」
「オレ?いい人に決まってんじゃん。な!」

いい人だろうけども自分で言っちゃいますか。

「そうですね。構ってくれるのでいい人です。でも少し痩せたほうがいいと思いますよ」
「ほっとけ」
「オレもそう思うな。次柳生」
「あのー柳生先輩ってオレのこと嫌いですか?」
「なんでですか?」

聞くべきか、聞かないべきか。チャンスといえばチャンスだ。でもこれで嫌いだって言われたら立ち直せるだろうか。

「……物覚えの悪い人、苦手というか、嫌いなんすよね…?」
「苦手なものの欄に弦一郎と書いている人がそこを気にするのか?」
「ちょちょ、柳先輩…っ!」

マジ余計なこと言わないでっ!ほら、部長と真田副部長のオーラ変わったし…。無言のプレッシャー怖いよ…。部長笑ってるし。

「赤也、オレは人の陰口は嫌いだよ」
「ガーンっ!……別にいいですよ!みんなに嫌われてたって。バーカ、バーカっ!テニスボール顔面に当たて鼻血出しちまえっ!」
「…行っちまった」
「テニスボール顔面って地味に痛いのぅ。そんなヘマしないが」
「ふふっ、今のが赤也の本心なんだね。全く可愛いじゃないか。さて、オレ達も意地悪を終わりにして、赤也に本心を言いに行こう。じゃないと本当に嫌われてしまうからね」

ちゃんと知ってるよ。君が先輩想いの後輩だってことをね。


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