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□だから私には解らない
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「俺はそのうち、お前を殺したくなると思う」


風の音と判別がつかないくらいの声のトーンで彼は呟いた。そしてその言葉はまた風の中に消えて行った。


「……なにそれ」
「そのまんまの意味」
「………ふーん……」

何を今更、そう思った。

殺したい、っていうのは憎いって事で、つまりお前が私を殺したいっつーことはお前が私を心底憎んでるって事だろ?


「……いや、…別に心底憎いわけでもねぇけど」
「何それ、矛盾してるヨ」

風がざわめく。
他に何の音もしない。


ただ沈黙の続いた公園の中、私はコイツとの会話に飽きて、(また喧嘩したかったけどやめた。もうコイツの目に殺意は無かったから)ブランコに向かう。

とくに乗りたいわけでも無いんだけど。


キー、コー、
軋むブランコから音がする。
ゆっくり、ゆっくりのリズムに合わせて私を乗せた板が揺れる。


「俺は、サディストだから」
「だから何だヨ。そんなん知ってるし」
「だからだよ」


はあ?もう訳が解らない。
私に理解を求めるな、勝手に言ってろボケ。



「だから俺は、いつかお前を殺す」

「もう聞いた。つか、お前には無理だろ、私、夜兎だし」



「お前の事、想ってるから」



だから、殺したく、なる。




「…………勝手に言ってろハゲ」
「……そうさせてもらいまさァ」



私には理解出来なかったし、理解したくもなかった。

ただ、それはサディストなりの愛し方なのかなとか考えて、ブランコから飛び降りた。





END





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