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□近未来
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武士らしく、潔く生を諦めてこれから訪れる闇の運命を受け入れるか、
人間のように生きることを乞うて死ぬことを恐れ運命から目を逸らすか、


「どっちが良いとおもう?」

息継ぎを殆どしないままくどくどと紡ぎ出されたその台本くさい台詞に、私の意識は奪われていた。


「……、はあ」
「はあ、じゃなくて真面目に」
「何?映画かなんかの台詞アルか?」
「んー、まーそんな感じでいーや」


んなアバウトな。
気にするな、で、どっち。


いやどっちと言われても先のくどくどと長ったるい嘘くさい台詞を私が覚えているはずもなく、てゆうかこれは何の質問なんですか。

「だからさ、生きるべきか死ぬべきか」

随分と要約されたな。
なんか食い違ってる部分も多々ある気がするのは思い過ごし?


「生きるか死ぬかなら、生きるだろ」
「…………」
「死んで得られるものなんかないネ。酢昆布も無いし」
「………そう、思いやすか」


でも俺ァ武士だからなァ、
何が武士だヨ税金泥棒、
まだ言うか酢昆布女、


「じゃあ、」


死ななくちゃいけないのに生きたい時は、どうすれば良いんで?


ああ、そういうこと。
最近調子悪いのはそのせいか。



(理解は出来た、出来たけど)



「私に聞くな、コノヤロー」
「ハハッ、」












END




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彼の目前に死が迫っている。
なら私はどうすれば、









 

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