‐Novel(U)‐

□願わくば
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§§§§






「どうだ本田」
「………酷い有り様ですね」


人事だと嘲笑うような表情を浮かべて見せると、彼は満足そうに卑しい笑みを広げてその場を去っていった




(そう、これでいい)




目の色さえ褪せてしまった彼の… わたしとは間逆の大きな背をそっと包むようにしてもたれかかった





「馬鹿な人」






小さく囁くように言ってやる


聞こえてますか?


まるで赤子をあやすかのような猫なで声で……




(何が花だ)
「言って下さい」
(何がわたしを側に置きたいだ)
「あなたが手にしたのは一体なんでしたか?」



今になってわかる



(全部無かった)

「全て幻なんですよ」

















「こっちを見てイヴァン」















命令しても、刃向かう貴方はもういないんですね



「わたしはここにいるのに」




(見えない)

(見て)


(許されるなら)

(許すだなんて)



「貴方がそれを否定する!!!」



















わたしは行く

彼を、イヴァンさんを1人置き去りにして









「… 二つ共手にしようだなんて、欲張りな人」













辛いなら、



どちらか殺せばいいのに
















ガチャン




聞こえた重苦しい音を最後に、ただそこに残ったものは二人を引き裂いたという事実でしか残ることはなかった…

>>END
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