‐Novel(U)‐

□fratello
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ひんやりとした部屋。自分の家のはずなのに、そこはとても薄暗く忘れられているかのようだった

(…俺も兄ちゃんもあんまり戻らないからなぁ)

今日はルート、仕事で帰ってこないって言ってたからこっちにきたけど… やっぱり1人はさみしいな

そんな事を思いながら玄関の鍵をかけた時だった





ことんっ




「…?」


だがしかし、リビングに明かりはなかった




「兄ちゃん、いるの?」



思い切って部屋をすすむとそこにあったのは机の上で突っ伏している兄の姿だった


(うわあぁ… 兄ちゃん1人でこんなに強いお酒を…)


ウォトカ? あぁ、いつかイヴァンから上司が貰ったっていう… て、そんな事考えてる場合じゃなかった



「にーちゃあーん… 駄目だよ〜こんなところで寝たら風邪引いちゃうよぉ」

「………ッ…」



…………何?


「え、兄ちゃん… どうし…」


















「ばか野郎………」













ぽろ…


ポロポロと玉のような涙を浮かべる兄ちゃん

思わず俺はすぐに反応できなくて



「兄ちゃ… だいじょう――…」





「助けて」






伸ばした手を握りしめられて


ボロボロと大粒の涙に変えたその瞳は俺をとらえ 言ったんだ



助けて… 助けろ





「胸が、苦しい…んだ」




「え? …………あっ」


ズキッ


痛… 痛、い… 痛いよ兄ちゃん



嗚呼、伝わる… 伝わってくる 俺ら二人で一つだから



ポロポロと自分にも涙が溢れる。この言いようもない切なさに入り混じる愛おしさと苦しさ。その原因なんて考えるだけ無駄だった。



ドンドン


ドンドンドン!




「ロマーノ俺や! なぁ、ここあけえ!! 聞いてや、ロヴィ… 堪忍やて…!!」
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