‐Novel(T)‐

□言えるわけないでしょう
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ギルは椅子の背に向かって座り、顎をのせ手を回した。
相変わらず小鳥は頭の上に乗り、彼の表情を覗く様にして見下ろした。

…なんで街に来ねぇんだ

約束したわけでは無いが、どんなに散歩しても(暇なわけじゃない)これほどまで会わないと言うのはやはり忘れた気しかしないのである。
ったく、イライラする。ついこの前までは、エリザに連れられてひょこひょこと現れてたのによ
一体なんだっていうんだ…?
見つめていた空は白く、青くなければ灰色でもなく。 その違和感が余計に俺を腹立たせた。

アイツん家行って様子を見るか? いや、そんなことが俺にできるわけ無い。って言うかする必要なんてねぇし!!

「兄さん? 何してるんだ……」

ガタッ
「っぶねぇ!!」

いきなり話しかけてくるヴェストへ冷たい眼差しを向け、前へ倒れかけた体と共に椅子に座り直す。もちろん、体制は変わらないままだ。

「いきなり話かけるなよな!」

「悪いな兄さん… 何せ本を読んでいたらコイツが邪魔をしてきたんでな」

そう情けなさそうに眉を垂らし呆れた表情のヴェストに摘まれていたのは俺様のひよこだった。

「お前ッ いつの間に頭から降りたんだよ!!」

そう言って大事そうに受け取る兄さんを見て、俺は思う。
第一、勝手に乗っていて、その上乗っていた事さえ知らなかったのだからそのひよこがいつ降りようと、それもひよこの勝手でないだろうか…… それを「俺のひよこだ!」と言う兄さんも十分勝手なのだが な………

「なんだ? 人の顔じっと見て…」

気持ち悪いぜヴェスト。
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